現在、韓国ではクレジットローンについてある懸念が高まっています。それについてご紹介する前に、以下の記事でもご紹介した韓国のクレジットローン事情についておさらいしておきます。
多重債務者が多すぎる
かつて「カード大乱」と呼ばれる大混乱がありましたが、韓国ではクレジットローンを利用する人が大変に多いのです。
韓国ではクレジットローンを利用する人が非常に多く、2020年の利用残高は32兆464億ウォン(約3兆1,085億円)となっており、2019年と比較して10.1%増加しました。特に20代(19%増加)、60代(17%増加)での利用増が目立っています。
また特筆すべきは、多重債務者が多いことです。本稿末の記事でもご紹介しましたが、126万人も多重債務者がいるのです。
ここまでが前提です。
で、懸念されているのは、2021年07月07日に法定最高金利を下げるのに伴ってどうなるか?です。
「返済してくれ」と言われたらどうしよう
韓国では07月07日から法定最高金利が「24%」から「20%」に引き下げられます。
お金を借りる際の金利が下がるのならいいじゃないか、と思われるかもしれませんが、ことはそう単純ではないのです。
懸念されるのは貸し金業者の対応です。
そもそも多重債務者というのは、ある借金の満期が近付いたら次の借金をしてその分を返す――を繰り返しているわけです。ロールオーバー(借り換え)の最小版です。
しかし、これはどこかで「借りられなくなったおしまい」です。
法定最高金利が下がるということは、貸し金業者からすると利益が減ることを意味しますから、貸したお金を返せない人(焦げ付き)を減らさないといけません。クレジットローンが低所得者層にもお金を貸せるのは利率が高かったからです。
なにせ韓国の法定最高金利はかつて「66%」もありました(2018年02月に現行の「24%」になった)。
これなら1人や2人債務不履行になっても大丈夫かもしれませんが、それが今度は「20%」です。貸し金業者としては、リスク軽減で、貸しても大丈夫な人なのかをよく見極めなければいけません。貸し先をもっと選別するでしょう。
そのため、「誠に申し訳ないのですが、あなたにはもう貸せません」「貸したぶんは満期日で返済してください、満期の延長猶予(リスケ)はしません」となるかもしれないのです。これは多重債務者にとってはまさに悪夢です。
というわけで、韓国では現在この法定最高金利引き下げに伴ってどのような事態が出来(しゅったい)するかが懸念されています。「大乱」にならなければいいのですが……。
(吉田ハンチング@dcp)