アメリカ合衆国が中国に半導体を渡さない戦術を取っており、中国はこれを克服するために自国製の半導体製造を行うために多額の投資を行っています。
現在、中国最大の半導体メーカーは『SMIC』(Semiconductor Manufacturing International Corporation:中芯国際集成電路製造)ですが、その能力は限られています。
微細工程についてはよく見積もっても台湾『TSMC』(Taiwan Semiconductor Manufacturing Companyの略:台湾積体電路製造)、韓国『サムスン電子』の二世代前(中国語メディアでは3世代前の報道)といわれており、半導体製造に必須の素材・部品・装備は日本・合衆国にほとんどを依存しています。
その依存率について、中国最大手半導体製造メーカーの一つ『長江存儲科技有限責任公司』(長江メモリー・テクロノロジー:Yangtze Memory Technology:略称YMTC)の副社長は「半導体製造は日本と合衆国の機器に80%依存している」と述べた――と報道されたことがあります。
ここにきて、中国が半導体製造装置を買い集めているという情報が出ています。
例えば大手半導体機器メーカー『ラムリサーチ』の2021年第1四半期の売上の32%は中国から上げており、これは地域別に見ると第1位です。ただし、この中には中国にある韓国『サムスン電子』『SKハイニックス』向けの出荷も含まれているとのこと。
現在の世界的半導体不足に対応するため、自国の半導体製造を強化しようとしているのです。
「中国製造2025」の目論見は……
中国の(最近さっぱり表に出さなくなった)「中国製造2025」は「アメリカ・ドイツ・日本など先進国の製造技術に追いつき、追い越すために策定されたもので、2016-2025年の10年間で「製造大国の仲間入り」をすることを目標としています。
また「2025年に半導体の自給率70%を達成する」という予定だったのですが、現時点時点で中国の半導体自給率は約15%。
2015年に発表された「中国製造2025」の目論見は大きく外れつつあります。合衆国の「中国に半導体を渡さない戦術」は功を奏していますが、しかし中国も面子があるので諦めてはしないでしょう。
⇒参照・引用元:『Lam Research』公式サイト
⇒参照・引用元:『Business Korea』「Chinese Companies Sweep Semiconductor Production Equipment」
(吉田ハンチング@dcp)