中国の経済が明らかに低迷を始めています。コロナ禍からの景気回復が鈍化しているのです。
中国の三大成長エンジンは全部弱体化
2021年08月16日に公表された「中国国家統計局」のデータによると、07月の小売販売額は3兆4,925億元(約59兆2,677億円)でした。
前年同期比で8.5%上昇しているのですが、決して喜べる数字ではありません。市場予測の11.5%を大きく下回ったからです。
コロナ事態前の2019年07月と比較しても7.2%しか増加していません。
企業の生産活動の成長も鈍化しています。中国は輸出で食べている国なので、企業の生産活動が低下することはそのまま輸出に大きな影響を与えます。
07月の産業生産額は対前年同期比で6.4%の増加です。しかし、これまた市場予想の7.8%に及びませんでした。
つまり、消費・輸出の成長が明らかに鈍化していることを意味しています。中国の成長エンジンのもう一つは「固定資産」への投資です。
累積固定資産投資額は対前年同期比で10.3%増加でした。しかし、これも市場予測の11.3%を下回りました。
結局、中国の3つの成長エンジンである、消費・輸出・固定資産投資が全て、外から見ているよりも弱っているいうわけです。
中国共産党の方針が成長鈍化を加速する
上記のとおり、経済成長は鈍化していますが、これに先日中国共産党が打ち出した「共同富裕」「三次分配」がさらにブレーキをかけるでしょう。
先富論によって成長を貪欲に求めてきた企業活動をストップさせるからです。いくら稼いでも中国共産党に吸い上げられるとしたらあほらしくてやってられない、となって当然です。利益を出すのもそこそこにしておかないと中国共産党に目をつけられたら何をされるか分かりません。
企業活動が鈍化すれば、これまでよりお金の流れが細くなります。中国共産党はこれに対抗するため、お金をより供給せざるを得なくなるでしょう。ただでさえ、景気回復の中折れをなんとかするために資金供給を続けているのに、さらに困った事態です。
資金投入の加速は、当然ながらインフレ傾向をさらに強めることになります。お金の量が拡大して、相対的にお金の価値が下がるからです。
しかし、中国共産党の金融当局は金利を上げるわけにはいきません。お金じゃぶじゃぶ状況を続けないと景気が本格的に後退するからです。
さて中国共産党はどうするでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)