韓国では金融リスクが高まっているという件をご紹介します。
韓国メディア『毎日経済』に「資産バブルが弾ける前の80年代日本と似ている…韓国経済に英誌『エコノミスト』が警告」という興味深い記事が出ました。
記事から一部を以下に引用してみます。
(前略)
05日(現地時間)『エコノミスト』によると、まず韓国は日本のように輸出で富を蓄積し、日本の購買力基準1人当たり国内総生産(GDP)を超えた。一方で、生産年齢人口は90年代半ば以降日本のように減っているという共通点がある。
その中でも、80年代後半の日本と現在の韓国経済には、いずれも金融リスクが現れていると『エコノミスト』誌は指摘した。
続いて、現在の韓国の土地価値が日本の問題が頂点に達した時と似ていると『エコノミスト』は診断した。
分析によると、韓国の土地価値は2013年のGDP比4倍から現在5倍に上がった状態だ。
日本の問題が頂点に達した時の土地価値はGDPの5.4倍だった。
貸し出しが急激に増えて家計負債が増加したのも日本の80年代を思い出させる根拠だ。
韓国の個人と企業は急速に融資を増やした結果、家計負債は昨年09月基準のGDP比107%に達した。これはドイツ(58%)、アメリカ(79%)よりはるかに高い水準だ。
日本は好況期に資産価値と負債が一緒に増加してバブルが弾けて資産価値は消え、負債は残った。
以後、企業と家計の両方で借金を減らして経済が萎縮したが、これを「貸借対照表不況」と呼ぶ。
(後略)
かつての日本と似てきており、要は韓国のバブルも弾けるんじゃないの――と指摘しています。
バランスシート不況とは? 企業がお金を借りなくなった
「貸借対照表不況」という言葉が出てきますが、これは日本では「バランスシート不況」と呼ばれています。
バブルが崩壊して資産価値が急落すると、貸借対照表(バランスシート)が大きく崩れます。負債はそのまま残って資産が急減するので、いわゆる債務超過状態となるのです。
倒産せずに済んだ企業はこの負債を本業で返済しようとするので、やがてバランスシートは持ち直します。
ところが、一国が大ダメージを受けてその国のどの企業もが同時にこれを行うとどうなるでしょうか。
金融機関にとってはお金の借り手がいない、中央銀行がいくらお金を供給しても誰も借りない、という事態になります。借り手があって投資を行うからお金が回るのであって、回らなければ景気も良くなりません。これが、バブル崩壊後に日本が落ち込んだ状況だというのです。
その証拠にバブル崩壊後の日本では、1998年に返済が借り入れを上回ります。企業がお金を借りなくなったのです。その上、2000年代になると企業は家計を上回る貯蓄を行う主体に転化したのです。
借金はもうこりごりだ――と企業のマインドが変化したわけです。
それはともかく、韓国も資産が弾けたら日本のようなバランスシート不況に陥るのではないか――という指摘です。
『エコノミスト』は「韓国は日本の経験から学べるだろう」と書いていますが、学んでもバブルを軟着陸させることができるとは考えられません。弾けないものはバブルとは呼ばない――という名言もありますし。
読者の皆さまも、韓国でバブルが崩壊したらバランスシート不況といわれる状態になるかご注目ください。ただし、韓国の場合、日本の企業のように「借金はもうこりごりだ」とならない可能性があります。なにせ借金を返済しなくてもいい、という徳政令がたびたび出される国ですので。
(吉田ハンチング@dcp)