半導体強国と称する自国に対して警告を発しているといえるかもしれません。
韓国メディア『韓国経済』に「世界トップ10のうち韓国は『0』……『半導体強国? 勘違いしてはならない』という警告」というタイトルの記事が出ました。
なんの話かというと、韓国が半導体強国というが、それはメモリー半導体の製造に特化した話であって、「設計」についてはグローバル競争力を持ってはいない――という件です。
この記事は、毎度おなじみ市場調査会社『TrendForce』が公表した「Global Top10 IC Design Company Revenue,2021」を基にしています。
「IC Design Company」というのは、いわゆる「ファブレスIC」で、自身では半導体の製造施設を持たない半導体サプライヤー企業のことです。
同調査によればTop10は以下のようになります。
ファブレスIC企業の売上Top10
第1位 『Qualcomm』……293.3億ドル
第2位 『NVIDEA』……248.8億ドル
第3位 『Broadcom』……210.3億ドル
第4位 『MediaTek』……176.2億ドル
第5位 『AMD』……164.3億ドル
第6位 『Novatek』……48.4億ドル
第7位 『Marvell』……42.8億ドル
第8位 『Realtek』……37.7億ドル
第9位 『Xilinx』……36.8億ドル
第10位 『Himax』……15.5億ドル⇒データ出典:『TrendForce』公式サイト
『TrendForce』の調査によれば、Top10企業の売上は前年比で「約48%」も増加し「1,274億ドル」に達しています。
非常に業績を伸ばしているわけですが、このTop10の中に韓国企業はありません。『韓国経済』の記事はこのような実績を踏まえて「勘違いするな」と述べています。
同記事から以下に一部を引用します。
(前略)
一方、国内企業のファブレス競争力は悲惨な水準だ。『オムディア』(調査会社:筆者中)によると、全世界のファブレス市場において韓国企業が占める割合は1.5%で、アメリカ合衆国(56.8%)・台湾(20.7%)に大きく及ばず、中国(16.7%)とも格差が大きい。
『サムスン電子』、『SKハイニックス』などを通じて、世界のメモリー半導体市場を主導しているが、ファブレスでは有効な手を打てずにいる。
高価でありながら今後有望なアプリケーションプロセッサー(AP)など高性能半導体チップの設計は、『Qualcomm(クアルコム)』など合衆国企業が独占している状況だ。
(中略)
韓国ファブレス企業はほとんどが中小企業で、現在成長が停滞している雰囲気だ。
ファブレスはファウンドリ企業との協力が不可欠だが、世界的な半導体好況の雰囲気の中でトップ10ファウンドリ企業にファブレスの注文が集まり、規模が小さい韓国ファブレスはますます立つ場所がなくなっている。
このような構造は、長期的に韓国半導体産業の育成にも障害となるという指摘だ。
(後略)
韓国企業の世界シェアは「1.5%」と非常に小さく、この分野では立つ瀬はありません。
同記事では「韓国が半導体強国という勘違いから抜け出して、国家が直接指導しなければならない」と、毎度おなじみの「国家主導」と主張しています。
『サムスン電子』『SKハイニックス』を足してメモリー半導体でシェアを70%弱持っていますが、これはあくまでもメモリー半導体だけのこと。
また、半導体輸出強国などと自称しますが、やはりメモリー半導体頼みです。ここが崩れると、半導体強国の看板を下ろさざるを得なくなり、また韓国の輸出は大きく傾きます。
上掲のTop10では台湾が大きく躍進しており、また後ろからは中国が追いかけてきています。ファブレスICが成長するかどうは別にしても、今のうちになんとかしないと韓国が危うくあるのは間違いありません。
(吉田ハンチング@dcp)