韓国メディアに嘆き節が多くなってきました。韓国にとって最重要である貿易のもうけ(貿易収支)が減ってきているのでさすがに心配になってきたようです。
もう何度だって言いますが、文前政権では「輸出金額が増加しているので大丈夫」と言い張ってきたのですが、通関ベースとはいえ03月、04月と連続赤字、05月も20日まで赤字となれば、韓国メディアも黙ってはいられない、といったところでしょう。
「危なくなってきたぞ」というのは、2021年12月に貿易収支が赤字に転落したときに分かっていたはずなのですが、今になって嘆くというのはいかにも遅いでしょう。
『毎日経済』の記事から以下に一部を引用してみます。
先月の輸出(578億ドル)が04月基準で史上最大を記録したが、近いうちに減少傾向に転換し得るという国策研究院の分析が出た。
為替レート・原材料価格の急騰で既に輸入(04月603億ドル)が輸出を追い越しており、輸出まで減少すると、貿易収支赤字が急増する恐れがある。
(後略)
この記事は通関ベースのデータを基にしています。以下に2022年01月~05月20日の累計の輸出入・貿易収支を再度貼ってみます。
2022年01月01日~05月20日累計
輸出:2,696億9,100万ドル
輸入:2,806億5,500万ドル
貿易収支(輸出 – 輸入):-109億6,400万ドル
(約-1兆3,964億円)
ここまでで累計「109億6,400万ドル」の貿易赤字です。
2021年の同期(01月01日~05月20日)は「97億1,100万ドルの黒字」でした。
天地で「206億7,500万ドル」(約2兆6,332億円)が消失したのです。
文前政権、また産業通商資源部は「前年に比べて輸出金額が増加しているので大丈夫」などと言い続けてきたのです。
韓国は貿易黒字でないと国がもたいないというのに、どこがどう大丈夫なのでしょうか。
上掲の『毎日経済』の記事は、「ここにきて輸出金額が下がる可能性が高まってきた」という記事ですが、これが現実になると貿易赤字額はさらに大きくなるでしょう。
以下に記事の元ネタになった『韓国産業研究院』の言及を引いてみます。
(前略)
「ウクライナ戦争が長期化してグローバルインフレが落ち着かない場合、輸出はコロナ以前より深刻な不振を見える」と述べた。(中略)
また、「最近のインフレは、輸出物価より輸入物価を急速に上昇させており、むしろ貿易条件を悪化させる側面が大きい」と指摘した。
輸出金額が増えるよりも輸入金額が増える速度が速いということだ。
研究員は「インフレが加速すればさらに強力な緊縮政策を呼び起こすという点で、実質輸出にむしろ否定的な影響を及ぼす可能性も大きい」と話した。
韓国にとって大変に痛いのは「輸出金額よりも輸入金額の伸びの方が早い」という点です。
韓国は、資源・中間財・資本財を輸入して、完成品を輸出しています。完成品の価格はなかなか上げるわけにはいきませんが、資源・中間財・資本財は完成品より価格上昇が早いのです。
こればかりはどうしようもありません。
尋常ではないインフレに襲われている韓国ですが、通関ベースとはいえ貿易収支が赤転して外貨を積めなくなり、この上「輸出が減少する」ことになると大変にまずいです。外貨が足らない分をどこかから調達することになれば……1997年「アジア通貨危機」前、2008~2009年「韓国通貨危機」前と同様の状態に陥る可能性があります。
(吉田ハンチング@dcp)