韓国「トリプルマイナス」で危機感露わ。おまけに「高インフレ」と「ウォン安」

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韓国経済は危うくなっています。そのため、韓国メディアでも危機感を露わにする記事が増えてきました。

韓国メディア『朝鮮日報』記事の一部を引用してみると、以下のような具合です。

生産、投資、消費という経済の三大軸が一斉マイナス成長に急落し、輸出で支える経済構造で貿易収支が2カ月連続で赤字を記録するなど、経済危機に対する懸念が高まっている。

今年に入って全世界を襲うインフレの炎が広がり、国民が体感する物価は恐ろしく走っている。

03日の統計庁発表によると、消費者物価上昇率が13年9カ月ぶり最高の5.4%まで上昇した。このような状況は06~07月まで続く見通しだ。

このように上昇する物価を抑えるために『韓国銀行』が基準金利を上げ、市場金利も上昇している。

韓国経済のこのような不安感が反映され、ドルに対するウォンの為替レートが2年ぶりの最高水準まで上がり、短期的な経済衝撃ごとに急騰落を重ねるなど危機感も大きくなっている。
(後略)

Money1でも個別にご紹介してきた事象をうまくとりまとめていらっしゃる文章です。生産、投資、消費がトリプル下落でこれは経済成長に影響を与えます。GDPを構成するもののうち、「政府支出」以外が全部下落傾向という意味ですので。


↑生産のマイナスは「輸出」を下落させ、投資・消費のマイナスはそのまま影響します。

また、韓国は尋常ではないインフレに襲われており、『韓国銀行』の予測によれば「5%台後半」まで上昇するはずです。

『韓国銀行』は「まずインフレ対策」という姿勢ですので、規準金利をアゲ続けるでしょう。

すると市中金利が上昇し、お金の調達コストが上がります。企業・家計がお金を借りにくくなり、企業の設備投資と家計の消費を押し下げる効果をもたらします。

「韓国経済に対する不安」が本格化するとまずい

最後の「韓国経済のこのような不安感が反映されてウォン安が急伸している」という部分だけは、いかがなものでしょうか。

ドルウォンのレートがウォン安に大きく傾いているのは、アメリカ合衆国の金融引き締め方向のためです。そもそも為替レートは通貨量の比で決まりますので、合衆国が通貨量を絞ればウォンが安くなるのは当然です。

また、市場はあらゆる情報を飲み込んで先行して動きます。現在のウォン安は「合衆国がジャイアントステップを踏んで金利を上げるぞ」⇒「あれ? 合衆国のインフレもピークを超えたのでは?」でオーバーシュート分の調整に入っています。

ただし、合衆国の金融緊縮基調が変わるわけではないのでウォン安方向は変わりません。レートを下げたければ、(どこで釣り合うかですが)韓国もお金の量を絞るしかないのです。

面白いのは、そういう状況であるのに韓国政府は史上最大規模の補正予算を組んで約62兆ウォンをばらまくのです(もともと59兆4,000億ウォンでしたが与野党の合意で62兆ウォンまで拡大しました)。

06月だけで「26兆ウォン + α」をまくつもりです。

『韓国銀行』の李昌洋(イ・チャンヨン)総裁からすれば、「こっちは規準金利を上げ続けてお金を絞ろうとしているのに、ナニやってんだ」と言いたいところでしょう。

こういうのが韓国の面白いところです。

ですので、ドルウォンレートがウォン安に傾いている主な原因は「韓国経済に対する不安感」ではないと思われます。「韓国経済に対する不安感」が主な原因なら、これこそ本当の資本逃避(キャピタルフライト)で、韓国経済は大きく傾くことになります。

しかし、現在の暗雲が垂れ込めている韓国経済が深刻な状況にまで発展すれば、「不安感」が高まり、本当に資本逃避が始まるかもしれません。そうなると、ドルウォンレートはさらにウォン安方向に傾き、それこそ「通貨スワップがないとドルが足りなくなる」という事態に陥ってしまいます。

韓国経済は非常に難しい局面にさしかかっているのです。こういうのをパーフェクトストームというのかもしれません。

(吉田ハンチング@dcp)

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