アメリカ合衆国、トランプ大統領の「中国からの輸入品目への追加関税賦課」は中国に深刻なダメージを与えます。この影響の大きさは私たち日本人が想像する以上のものです。
普通、関税は輸入業者が負担します。貿易条件によっては輸出業者が負担することもありますが、大抵は輸入業者が負担しますので、今回の関税によって合衆国の輸入業者は支出が大きく増えます。しかし、輸入業者は輸入先を他の国にすることでこれを回避できます。もちろんどうしても中国でしか製造できないという物品は仕方ありませんが、それ以外は他の国からの調達に移行するでしょう。
しかし、この動きが大きくなると中国の合衆国への輸出は減少することになります。何よりもドルの獲得能力が大きく失われることが問題です。Money1でもご紹介したとおり、中国の通貨「元」は、流入するドルの量に応じて発行するという特殊な通貨です。
ドルの流入量が減少すると、元の発行量がどうなるのか? 中国の中央銀行である「中国人民銀行」は、市中銀行からドルを買い上げて元を市中に流通させているので、独自に定める交換レートが急上昇すれば急激な元安に、交換レートを維持すれば元の流通量が減り、経済の血液である通貨が絞られることになります。
通貨の流通量が減れば当然不景気に拍車が掛かることになります。不景気になれば当然仕事もなくなるわけですから、輸出もさらに減るので、輸出一本でもっている中国はさらにドルを獲得できなくなりますね。負のサイクルです。
中国共産党は「大量失業を出すな!」と指示
05月13日、北京で開催された「雇用問題に関する会議」に出席した李克強首相は、各地方に「大規模な失業を出さないように」と指示したとのこと(記事末URLを参照)。この先に何が待っているのかをよく理解している証拠です。
最強の基軸通貨を持つ合衆国との係争は高くつきます。事実上ドルにペッグしている元を通貨とする中国にはそもそも勝ち目はないのです。恐らく大量の失業者を出さないことも不可能です。
⇒参照:日本語版『大紀元』「米中貿易戦、中国当局『大規模な失業』に警戒」
https://www.epochtimes.jp/p/2019/05/42787.html
(柏ケミカル@dcp)