2022年06月29日、『韓国銀行』が来る07月中に通貨安定証券を8.6兆ウォン規模で発行することを公表しました(以下はプレスリリース)。
韓国銀行は2022年07月中に8.6兆ウォン規模の通貨安定証券を発行する計画
o競争入札による発行予定額は7.4兆ウォン、募集による発行額は1.2兆ウォン
□2022年7月中の通貨安定証券の中途買い戻し規模は4.0兆ウォン
↑07月04日を皮切りに27日まで、総計8.6兆ウォンの通貨安定証券を発行するスケジュール。満期は91日、1年、2年、3年の3種類。⇒参照・引用元:『韓国銀行』公式サイト「 2022年7月中通貨安定証券発行計画」
通貨安定証券は、『韓国銀行』がお金を吸収するために発行する債券です。売りオペのためものです。普通は、国債や手形を売ってお金を吸収します。中央銀行が独自に債券を発行するなんて話は他国では聞きませんが、韓国はこれが面白いところです。
通貨安定証券を発行し過ぎで赤字転落した『韓国銀行』
『韓国銀行』はこの通貨安定証券の発行し過ぎで赤字になったことがあります。債券ですので利払いが発生し、その支払い負担のために赤字になったのです。なぜ、中央銀行が赤字になるほど通貨安定証券を発行したのかというと、当時の金融政策がウォン安に誘導していたためです。
以下の記事でご紹介したとおり、韓国通貨危機前には、貿易赤字に端を発する「負のサイクル」が回っていました。このサイクルではウォン高になり、韓国の輸出企業が不利な状況に陥ってしまいます。
そのため韓国の金融当局は、ウォン安にするためにウォン売りドル買いを行いました。しかし、これではウォンがあふれてしまい、インフレを誘発します。『韓国銀行』はウォンを吸収するために通貨安定証券を大量に発行したのです。結果、利子負担のために『韓国銀行』が赤字転落しました。
ナニをやってるんだ――という話ですが、本当にあったことです。もし、より詳細にお知りになりたい場合には、三橋貴明先生の『本当はヤバイ!韓国経済 迫り来る通貨危機再来の恐怖』をお読みください。
ともかく、『韓国銀行』が通貨安定証券の発行に動いているのは、インフレ対策でお金を吸収して量を減らし、お金の価値を上げなければならないためと考えられます。もっとも、上掲のとおり4兆ウォン規模で買い戻しも実施します。
(吉田ハンチング@dcp)