韓国『興国生命』が5億ドル規模の外貨建て永久債を早期償還しないと公表しました。
この「コールスキップ」によって、「韓国発行体の外貨建て債券の信用が墜落するぞ」という件をご紹介しましたが、予定どおりのことが起こっています。
永久債というのは特殊な債券で「早期償還されるのが前提」で投資家はお金を突っ込みます。ですので、韓国では「永久債(劣後債含む)は5年満期」が常識です。
この前提(常識あるいは慣例)を破ったわけですから、グローバル投資家からの信頼が落ちて当然です。
この件が引き起こす影響で最も恐ろしいのは、投資家が韓国発行体の外貨建て債券を敬遠することです。韓国メディアがよく使う表現を借りるなら「取引崖」という状況に陥ることです。
引き受け手がいなくなれば債券発行による外貨調達が困難になって、外貨流動性がやせ細ってしまいます。
予定どおりのことが起こっているようで、本件を報じた『デジタルタイム』の記事から一部を以下に引用します。
興国生命のドル貨新種資本証券コールオプション(早期償還権)未行事以後、外貨債券市場で外貨表示債券(韓国物・韓国ペーパー)価格が急落し、取引量も「取引崖」水準に減ったことが分かった。
(中略)
06日、金融投資業界と『Bloomberg(ブルームバーグ)』によると、国内外の外貨債券市場で『興国生命』の額面が100ドルの新種資本証券(永久債:引用者注)の取引価格は04日「72.2ドル」で、今月01日の『興国生命』が行ったコールオプション延期の公示直前の10月末(99.7ドル)より30%近く急落した。
(中略)
ある証券会社海外債権運営担当者は「海外債券の場合、全体的な取引量を把握することは難しい」としながらも「『興国生命』コールオプション未執行以前から韓国物に対する流動性がスムーズではなかったが、それでも買収・売りがある状況だったが、コールオプション未執行の後は、それさえ消えた状況だ」と伝えた。
(後略)⇒参照・引用元:『デジタルタイム』「韓国外貨建て債券取引を破って価格急落」
まず、やっちゃった『興国生命』の永久債の価格が30%も下落したという点です。価格が下がったということは利回りが上昇しているわけで、つまり高利でないと取り引きされなくなっているのです。
ご注目いただきたいのは、「そもそも韓国物に対する流動性はスムーズでなかった」という告白と、『興国生命』のコールスキップによって、その細い売買取り引きさえも「消えた」と述べている点です。
以下の点にも注目です。
(前略)
同関係者は「ウォン債券市場内の資金調達も難しい状況で、コールオプション未執行によって外貨建て債券市場までが加わり、資金調達の「二重高」を経験することができる」とし「新種資本証券発行会社だけでなく、一般債券発行会社も海外投資家らにもっと高い金利を求められるほかはないようだ」と付け加えた。
(後略)⇒参照・引用元:『デジタルタイム』「韓国外貨建て債券取引を破って価格急落」
投資家にもっと高い利率を求められることになると述べていますが、これは当然の帰結。市場の信頼を失うとこうなるのです。
資金調達が手詰まりになる企業が出てそうな状況となってきました。
(吉田ハンチング@dcp)