2022年11月15日(現地時間)、韓国の尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領と中国の習近平総書記の初の対面首脳会談が開催されました。
結局、大して面白い話はなかったのですが、明らかになったのは、中国が韓国をアメリカ合衆国側に行かせまいとしていることと、特に半導体に関しては今しばらくは中国には韓国が必要ということです。
そんな中、中韓首脳会談終了を受けて、韓国のメディア・識者からはさまざまなご意見が出ています。
以下に韓国メディア『毎日経済』の記事から一部を引用します。
(前略)
最近3選を確定し、長期執権体制を備えた習主席も今が中韓関係発展に対する新しいスケッチを描く機会だ。中国が北東アジア情勢安定のため北朝鮮核挑発抑制に乗り出し、限韓令解除につながるように外交力を集めることが首脳会談以降の課題だ。
『毎日経済』の社説ですが、習近平総書記は三選を決めたので「今が中韓関係発展に対する新しいスケッチを描く機会」としています。韓国にとっては中韓関係の新しい図を描く必要がありますが、中国にとってはその必要があるかどうかは分かりません。
米中の対立が深化する方向ですので、中国にとって韓国は自由主義陣営での最も弱い環です。韓国にとって中国はいまだ最大の輸出先であり、中国のご機嫌を損ねるわけにはいきません。
最近では(韓国が主力輸出品としている)二次電池の原材料のほとんどが中国に依存しているなど、中国にとっては御しやすい相手です。
韓国に対する関係について、中国が新たな絵図を描く必要はないですし、また王毅外相が朴振(パク・ジン)外交部長官に以前つきつけた以下の「5つのすべき」を守れという主張も変わらないと思われます。
独立性を保ち、外部からの干渉を受けないことを維持すべき
应当坚持睦邻友好,照顾彼此重大关切;
善隣友好を守り、互いの主要な関心事を受け入れるべき
应当坚持开放共赢,维护产供链稳定畅通;
開放性とウィンウィンを堅持し、生産とサプライチェーンの安定性と円滑性を維持すべき
应当坚持平等尊重,互不干涉内政;
平等と尊重を守り、互いの内政に不干渉であるべき
应当坚持多边主义,遵守联合国宪章宗旨原则
多国間主義を堅持し、国連憲章の原則を遵守すべき
その証拠に、THAAD事態によって引き起こされた「限韓令」はいまだに生きており、中国はこれを変更する姿勢を見せていません。
上掲記事には「限韓令の解除に外交力を集めることが首脳会談以降の課題」と書いていますが、今までさんざん努力してきて解決してはいないのです。
親中だった朴槿恵(パク・クネ)政権、文在寅政権でも解決できなかったものが、なぜ親米に舵を切った尹錫悦(ユン・ソギョル)政権で解決できるでしょうか。
日本の輸出規制は解除されるべき
韓国の「すべき論」は、日本に対してもあって、2019年に日本が決断した「韓国への輸出管理強化」は解除されるべき――と唱えています。
2019年07月、日本の経済産業省は、韓国を「り地域」とし、ホワイト国から除外しました。
韓国側はいまだにこれを「輸出規制」と呼び、「解除せよ」「元の待遇に戻せ」と主張しています。特に経済界からの要求は強く、例えば『全国経済人連合会』などもリポートにしばしば言及しているのです。
以下に『ソウル経済』の記事から一部を引用します。
(前略)
この日懇談会に参加したイ・スンヒョン『インパックコリア』代表は半導体・ディスプレー素材関連の日本の輸出規制解除を要請した。『Toray Advanced Materials Korea(東レ尖端素材)』の全海尚代表も「韓国のホワイト国復帰が早い時期に行われることを願う」とし「両国企業人間の主要懸案を議論できる場を設け、これを通じて両国経済協力が拡大されることを期待する」と話した。。
(後略)
このように経済界からの要求は多く、また韓国政府も「解除されるべき」の主張を行っています(文在寅政権よりはマイルドになりました)。
アメリカ合衆国に対する「インフレ削減法の施行は3年遅らせるべき」のそうなのですが、韓国の「○○されるべき」要求はいつも「相手がどう思うのか」についてはあまり考慮されてはいません。また、相手が韓国の要求どおりに動くのかについても、です。
相手国からすれば「それはこっちで決めます」です。
(吉田ハンチング@dcp)