米国『SVB』が飛んで韓国も緊張。

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読者の皆さまもすでにご存じのことでしょうが、2023年03月10日、アメリカ合衆国の『Silicon Valley Bank(シリコンバレーバンク』(略称「SVB」)が破綻し、『FDIC』(連邦預金保険公社)の管理下に置かれました。

『SVB』は『SVBフィナンシャルグループ』傘下の銀行で、ベンチャーキャピタル(略称VC)や、VCが出資しているスタートアップ企業に投融資を行ってきました。

今回の破綻に向かった原因はコロナ禍です。

コロナ禍によって世界中で金融緩和となり、資金がだぶついたものですから、巨額資金が『SVB』に流れ込みました。

『SVB』はこの資金をアメリカ合衆国債(長期債)に投入。ところが、連銀が政策金利を上昇させることによって国債金利が上昇。つまりは国債価格が下落しました。これは資産価値の下落に他なりませんから、『SVB』の業績が傾くことを意味します。

それに伴い、2023年に入ってから顧客が『SVB』から資金を急に引き上げ始めます。『SVB』は保有していたSecurities(証券類)を売却して埋めざるを得なくなり、これがますます投資家・顧客の信用を失わせる結果となりました。

市場のモメンタムは重いくせいに、状況が明瞭になると一気に動きます。

『SVB』の場合もそうで、『SVB』の状況を注視するようになった投資家・顧客の資金回収の動きが急速になって、株価は急落。


↑『SVBフィナンシャルグループ』の株価は急落。2023年03月09日は「始値:176.55ドル」から「終値:106.04ドル」まで39.9%下落。前日「終値:267.83ドル」からでは「60.4%」の下落になります。

慌てた『SVB』は、流出した資金を補うため、2023年03月08日、緊急の増資計画を発表したのですが、これがまたいけませんでした。増資計画は失敗に終わり、結果、『SVB』は破綻。『FDIC』(連邦預金保険公社)の管理下に置かれました

『SVB』の破綻がアメリカ合衆国、および世界に与える影響について懸念されています。

『Bloomberg』によれば、合衆国財務省のイエレン長官は、

FRB』(連邦準備制度理事会)
FDIC』(連邦預金保険公社)
OCC』(通貨監督庁)

の幹部と会議を行い、「(国内銀行システムの)強靱さに変わりはない」、「(『SVB』を巡る事態について)効果的なツールがある」と述べたとのこと。

合衆国の銀行システムに強靭さに変わりはなくても、海外に与える影響は考えざるを得ません。韓国メディアも当然ながら本件に注目しており、ことによっては韓国の金融当局も対処に乗り出すべき、としています。

例えば、『Chosun Biz』は2023年03月12日の記事冒頭で「合衆国のスタートアップの資金調達元だったシリコンバレー銀行(SVB)の破産に、世界の金融圏と企業が緊張している。各国規制当局も事態を注視し、対応策を設けている」と書いています。

「イギリスでは、イギリスIT系企業180社がジェレミー・ハント財務長官に政府介入を促す書簡を発送したこと」を報じています。同書簡では「(銀行が開く)月曜日に危機が始まるので、今すぐ当局が防げなければならない」と書いた――とも。

『毎日経済』は「連邦準備制度(Fed・連銀)の急激な金利引き上げで資産価値が下落すると直撃弾を迎えた。恐怖が急激に広がり、合衆国の4大銀行時価総額が70兆ウォン近く蒸発した。一部ではシリコンバレーで行われたバンクラン(大規模預金引き出し事態)が金融システム危機を知らせる『炭鉱のカナリア(前兆)』という解釈まで出ている」とおどろおどろしく書いています。

――というわけで、極東から月曜日の市場が開きます。

間もなくスタートですが、2023年03月13日(月)の市場はどのような展開を見せるでしょうか。ご注目ください。

(柏ケミカル@dcp)

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