韓国「岸田の前で求償権を行使しないと明言しやがった」

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2023年03月16日、日韓首脳会談が行われ、共同記者会見がありました。

予定どおり共同声明は出ませんでしたが、記者会見で興味深かったのは、「いわゆる徴用工」問題の解決法として韓国政府が示した第三者弁済プラン――についての両首脳の言葉です。

↑Youtube「TBS NEWS DIG」チャンネル。記者会見のライブ動画。白眉は最後の記者からの質問セッション

記者会見において、日本・韓国の記者がそれぞれ一人だけ質問を許されたのですが、日本からは「求償権をどう考えているのか」についての質問が出ました。

求償権の行使を封じる必要がある

今回の弁済プランでは、判決によって被告・日本企業が背負った債務は、『日帝強制動員被害者支援財団』が代わりに原告・自称徴用工にお金を支払うという建て付けです。

ただし、第三者として債務を肩代わりする『日帝強制動員被害者支援財団』には求償権という権利が発生します。

これは後になって、元の債務者に対して第三者が「代わりに支払ったお金」を請求できるという権利です。

この場合は、『日帝強制動員被害者支援財団』が被告・日本企業に対して請求できる権利になります。

求償権を行使されると元の木阿弥。

そのため、このプランを成立させ、被告・日本企業がお金を支払わないというていを守るためには、どうしても求償権を封じなければならないというわけです。

求償権について日韓首脳はなんと言ったか?

本線に戻ります。

――そのため、日本の記者は求償権について質問をしたわけです。

日韓両首脳はそれぞれ以下のように答えました。該当部分だけ抜粋します。

岸田首相:
(前略)
1点目の質問についてですが、これは尹大統領の力強いリーダーシップの下、今般韓国の財団が判決金等を支給するという措置が発表されたと承知しております。

そうした本件措置の主旨に鑑み、求償権の行使については想定していないものと承知しております。

いずれにせよ、今後措置の実施と共に、日韓の政治、経済、文化等、幅広い分野における交流が力強く拡大していくこと、このように期待をしている次第です。

私の方からは以上です。

岸田首相が述べたことは「尹大統領がそう言っているからそうなる」というだけであって、求償権が今後一切行使されない保証を取ったのか――という点については不明という他ありません。

では、尹大統領は「求償権の行使」についてなんと述べたのか? 以下です。

尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領:
求償権の問題についてお答えします。

今まで韓国政府は1965年の協定に関連して、強制徴用工被害者に対する賠償問題を政府の財政で処理しました。

しかし、2018年に今までの政府の立場、1965年の解釈とは異なる判決が出ました。

韓国政府はこれを放置するのではなく、今まで韓国政府がこの協定に対して解釈してきた、一貫した態度と判決を調和をなした形で解釈をし、日韓関係を正常化して発展していくべきだという考え方に基づいて、基金による第三者案を判決の解決策として発表いたしました。

もし、求償権が行使されるとすれば、これはもう一度この問題を元の位置に戻してしまいますので、韓国政府は求償権の行使は、判決の解決策とした主旨に照らして、想定していません。

必要であれば補足説明をしたいと思います。

尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領の言葉を素直に聞けば、2018年の大法院(最高裁判所相当)の判決こそが、これまでの韓国政府の立場と異なるものであった――と取れます。

尹大統領がすごみを見せたのは、「求償権の行使を韓国政府として想定していない」と明言した後です。

質問した日本人記者の方を見て微笑みました。


↑この笑顔で「補足説明しましょうか」と言ってのけました/スクリーンキャプチャー

微笑んだ後、「必要であれば(私から)補足説明をしたいと思います」と言ってのけました。

大したものです。邪推するなら、求償権を行使するかどうかは韓国側が判断できる――という余裕があるからこそ言えたことであるかもしれませんが。

求償権を行使しないと尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領が明言してくれたので、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領の発言の後、横の岸田首相は明らかにほっとした顔をしています。


↑明らかにほっとした表情の岸田首相/スクリーンキャプチャー

今回の日韓首脳会談、残念ながら岸田首相の位負けです。

ただ、尹大統領が明言したため、以降に「韓国が求償権を行使する」という事態が起こった場合、「大統領がうそをついたのか」と日本は韓国を詰問することができます。もっとも、基本規制が「約束は方便」という韓国にどこまで効くかは分かりませんが。

「岸田の前で言いやがった」

続いて韓国の記者から代表して質問があったのですが、これは割愛して、この尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領の発言を受けて、早速、韓国の極左メディア『ハンギョレ』が記事を出しています。

以下に一部を引用します。

(前略)
尹大統領はこの日、東京首相官邸で岸田首相との首脳会談を終えた後、共同記者会見でこのように述べた。

尹大統領は会見文を読んだ後、「求償権請求問題がまだ残っている」という日本記者の質問に「求償権が行使されれば、すべての問題を元の位置に戻すことになるので、韓国政府は求償権の行使を判決解決の主旨と関連させて考えていない」と述べた。

尹大統領が「求償権請求はない」と強調すると、岸田首相は満面の笑みを浮かべた。
(後略)

⇒参照・引用元:『ハンギョレ』「尹大統領、岸田の前で『強制動員求償権を行使しない』」

さすが『ハンギョレ』というべきですが、タイトルから「尹大統領、岸田の前で『強制動員求償権を行使しない』」となっており、岸田首相が満面の笑みを浮かべるようなことを言いやがった――という書きぶりです。

韓国では「(尹大統領は)もう帰ってくるな」といった激しい非難も挙がっています。

日本政府もノリノリですので、これで日韓関係はまたぞろ「なあなあ方向」に進みますが、恐らく尹大統領は帰国した後、激しい突き上げに遭うでしょう。凌いでいけるかどうかお手並み拝見です。

(吉田ハンチング@dcp)

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