中国の南西部の省は水不足に陥っています。中国当局の発表によれば例年の1/10ほどの雨量しかない地域があり、干ばつの程度は深刻です。
水道会社が「健康のために入浴は月に2~4回にしましょう」などという「おためごかし」の勧告を出して住民の怒りを買ったのは、先記事でご紹介したとおりです。
問題は、四川省、雲南省で水不足になると水力発電所が十分に機能せず、電力不足になるという点です。水力発電所が生産した電力は、工業の中心地の一つである広東省にも送られています(広東省の電力消費の1/3は雲南省から送られています)※。
すでに電力不足は現実のものになっています。
中国メディア報道によると、2023年05月30日から断続的に、広東省深圳市の龍華区・光明区・龍崗区などで深夜に予告なく停電が起こっています。輪番制で停電が行われている模様ですが、電力事業の当局はこれを認めておりません。
住民にとって最悪なのは気温です。先の干ばつの記事でもご紹介しましたが、南西部地域は高温にも悩まされており、06月01日現在で深圳市は12日連続で33度を超えています。
この高温によって、電力需要が急速に高まり、水不足による電力生産量の減少があるのに消費量は上がるという最悪の状況になっています。
深圳市の電力事業当局(供電局)は「電力負荷と電力消費量は急上昇を続けており、05月30日に2,000万kWhを超えた。05月中に超えたのは史上初」と公表。2022年より45日早かったとのこと。
05月22日には南部電力網(広東・広西・雲南・貴州・海南の南部5省および香港・マカオに電力を供給)の最高電力負荷が2023年初めて2億キロワットを超えています。
通常なら06月からは雲南省の降雨量が増加するのですが、もし増加しない場合、また気温が高いままで推移するなら電力不足は慢性化する可能性があります。
(吉田ハンチング@dcp)