中国で天候による被害が拡大しています。干ばつと、一方で水害です。
今回は「干ばつ」です。
↑四川省の干ばつの惨状を伝えるSNS動画/スクリーンショット
四川省涼山では連日暑い日が続き、雨が降らないことから干ばつが起こっています。05月29日には最高気温が摂氏42度に達したところもあり、高温と少雨の結果、住民の飲料水を確保することが焦眉の急となっています。
水がないので、当局(水道会社)は節水を呼び掛けているのですが、その文書がまた住民の怒りを煽ることとなっています。
以下は節水の心得みたいな文書の中の「12」番の箇所ですが――。
――「入浴回数が多すぎると皮膚の健康に良くないので、月に2~4回が最も適切」と書いてあります。
飲料水の確保も大変なので、入浴回数を抑えてほしいということでしょうが、住民の皆さんは怒っていらっしゃいます。『Weibo』を見てみると「マジか!」「暑いのにそれは無理」といった書き込みがある一方で、「今年の雨の降らなさは異常。数カ月一滴の雨もない」と窮状を訴えるものも。
調べてみますと、この地域は毎年「11月~翌年05月は非常に乾燥」し、「06月~10月には雨量が豊富」とのこと。そもそも乾燥する地域なのですが、「それにしても今年はひどい」となっています。
四川省だけではなく、中国の南西部の省はひどい水不足です。
農作物への影響も非常に懸念されているのですが、この水不足によって周囲の省が困ることになるという予測も出ています。
電力不足への懸念です。
上掲のとおり、四川省の南隣は雲南省です。雲南省は水量が豊富ということで水力発電所が多く建設されており、発電した電気は省内のみならず東の省にも送られています。
ところが、水が少なくなると当然発電量が減ります。中国南西部から送られる電力量が減ると、例えば広東省で電力不足になるというドミノが起こるのです。
2023年05月30日の『中国日报(China Daily)』の記事には以下のように書かれています。
(前略)
河川の流れや貯水池は発電や灌漑用水に影響を与え、農業生産に直接影響を与えます。長江流域はわが国で最も水力資源が豊富な地域であり、水力資源の埋蔵量が高く、特に中流域と上流域で年間水力発電量が全国の40%以上を占めています。
しかし、水力発電への依存度が高いため、天候や気候の影響を受けやすくなっています。
四川省を例に挙げると、2021年の四川省の年間発電量は4,530億kWhとなり、このうち水力発電は3,530億kWhで78%、3分の1を占めます。
(中略)
今年初めから中国南西部では干ばつが続き、降水量が平年より80%減り、その結果、長江の流量は01月から04月で20~30%減少し、年間では30%減少している。一部の中流局では50%減だ。
2022年後半から、雲南省を含む中国南西部の多くの主要な水力発電省では、水の供給が枯渇傾向にあり、水力発電の貯水が深刻に不足し、水力発電の状況は依然として厳しい状況にある。
その影響を受けた雲南省は、2023年02月以降、生産や電力の制限など幅広い措置を実施している。
近い将来、南西部地域の降水量は依然としてそれより80%以上減少し、長江流域の中下流域の降水量は20〜30%減少します。
今後も干ばつが続いているため、江南地域のさまざまな水利事業の貯水や発電に影響が及び、長江流域の水力発電の出力は前年同期を下回る可能性がある。
水力発電は依然として火力発電で賄う必要があります。
(後略)⇒参照・引用元:『中国日报』「暑さと極度の干ばつが農業に及ぼす影響」
中国で「年間水力発電量が全国の40%以上」を占める地域で水不足という、トンデもない事態に陥っています。しかも、これから先水量はもっと減るという嫌な予測までしています。
どこまで正しいのか不明ながら、「近い将来、南西部地域の降水量は依然として80%以上減少し、長江流域の中下流域の降水量は20〜30%減少」というのです。
記事のこの箇所は「電力不足」について述べており、そのため「火力発電などを利用し……」とのん気なことを書いていますが、人間は水がないと生きていけません。
上掲の「お風呂は月に2~4回にしましょう」どころではなくなるかもしれないのです。
北京のすぐそこまで砂漠がきている――などの話もありますが、中国の国土では人が住めなくなる地域が増加していくのではないでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)