韓国政府が日和った!「EVの廃バッテリー」生産者リサイクル責任制をバックレる

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読者の皆さまもご存じのとおり、過剰生産・過剰供給の国「中国」では電気自動車の墓場が各地にできています。

↑YouTube『今日華爾街』チャンネル「またバブルが弾けた! 中国各地で廃車が山積み、電気自動車墓地が補助金詐欺を物語る」

電気自動車のレンタルサービスが破綻し、利用しなくなった車両をまとめて放置しているためにこのような電気自動車の墓場ができているのです。

電気自動車では、搭載されたバッテリーが劣化してくると交換しないといけませんが、交換は高くつきます。中古車価格は先にご紹介しているとおり値下がり傾向で、リセールバリューが良くないのも電気自動車の特徴です。

では――購入した電気自動車がへたってきたらどうするのか?です。どこか遠くに行って放置とか、違法に廃棄されるとたまったものではありません。

韓国では、環境部が「電気自動車の廃バッテリーは生産者リサイクル責任制EPR)に含める」と打ち出していました。

「EPR」は「生産者に責任をもたせる」考え方!

EPRは「Extended Producer Responsibility」の略で、日本語では「拡大生産者責任」と訳されます。

製品の環境負荷に生産者も責任を持つべき――という考え方です。

つまり生産者は、その製品の設計・製造・使用のみならず、消費後の廃棄やリサイクルにまで責任を持つべき――とするのです。

この考え方に基づけば、例えば電気自動車なら、

1.使用済み二次バッテリーの回収
2.適切な廃棄、廃棄物を減量する
3.リサイクルの仕組みの整備
4.リサイクル率の向上を図る

という工程を生産者が引き受けなければなりません。

廃棄やリサイクルについて生産者が行わなければならないため、自治体や消費者にそのコストが転嫁されません。また、リサイクルまで考慮して製品設計を行うようになるので、より使用済み製品の回収やリサイクルが行いやすくなります。

どこのメーカーとはいいませんが、搭載したバッテリーがテコでも交換できないような設計など論外です。

あ、日和ったぞ!

韓国の環境部が打ち出した方針は正しいものですが、これが韓国メディア『東亜日報』の取材によれば――環境部が撤回したことが分かりました。

バックレたのです(笑)。

『東亜日報』の記事から引用すると、こんな具合です。

環境部の関係者は01日、『東亜日報』に「現在発生する廃バッテリーの規模も小さく、業界の反対も激しく、(当該政策を)検討していない」と述べた。

これに先立ち、02月にはハン・ファジン環境部長官は「電気自動車の廃バッテリーをEPRに含める案を計画している」と明らかにしていた。

EPRは製品生産者が製品から発生した廃棄物を回収し、リサイクルまで責任を持って行う制度だ。リサイクルや処理が難しい蛍光灯、タイヤ、廃電池などが主な対象だ。

バッテリー業界は「国内で発生する廃バッテリーは価格が高く、『ゴミ』を処理するEPRに含まれる理由がない」と反対してきた。

国内の廃電池はほとんどNCM(ニッケル・コバルト・マンガン)電池で、廃電池の平均価格は1個当たり300万ウォンに達する。

『韓国バッテリー協会』の関係者は「ニッケル、コバルト、マンガンなど核心金属を抽出できる廃バッテリーを『引き取ろう』とする企業が市場に参入している」とし、「廃バッテリーがEPRに含まれて電気自動車メーカーなどが『生産者』になる場合、廃車またはリサイクル業界は事業機会を奪われることを懸念している」と説明した。
(後略)

自動車メーカーが生産者に認定されて、EPRに含まれた場合、当然コストが上昇します。そのため、自動車メーカーとしては「イヤ」なのです。

また、『韓国バッテリー協会』では、リサイクル業者が動いているので「それでいいじゃないか」としています。「彼らの事業機会を奪うことになる」と。

ご注目いただきたいのは、環境部関係者の述べた「業界の反対も激しく」という部分です。

業界の反発に遭って、事実上、政策を撤回しました。「日和りやがった」のです。

拙速に過ぎたという部分はあるかもしれませんが、二次バッテリーには高価な資源が使われています。確実にリサイクルが行われるためには、制度の枠組みが必要ではないでしょうか。

中国のような電気自動車の墓場を作らないためにも。

(吉田ハンチング@dcp)

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