2023年11月22日、『IAEA』(International Atomic Energy Agencyの略:国際原子力機関)の定例理事会がウィーンで開催されました。
この席上、中国の常任代表が興味深いことを述べました。
「『AUKUSによるオーストラリアに対する原子力潜水艦技術供与』によってリスクが拡散するので、『IAEA』での政府間協議が行われるべき」というのです。リスク拡散も何も、中国が封じ込められるのがイヤなだけです。
中国代表は以下のように述べています。
「AUKUSの協力は世界とアジア太平洋地域の安全保障に深刻な影響を及ぼし、国際不拡散体制とIAEA保障措置制度に重大な挑戦をもたらしている」
「こうした協力は核兵器不拡散条約の目的や目的に反しており、二重基準の典型的な例だ」
この中国代表の言説を支持しているのは、ロシア、エジプト、アルジェリア、パキスタン、イラン、キューバという「アレな国々」です。これは中国の「泣き」です。「効いてる、効いてる」といってもいいでしょう。オーストラリアが原子力潜水艦を保有することになると、中国が困るので、これは推進すべきなのです。
また、日本の福島処理水の問題も取り上げ、以下のように述べています。
「国際社会の疑念や関係国の強い反対を無視して、日本は福島汚染水放出計画を頑なに打ち出し、継続的に推進してきた」
「中国は常に日本の汚染水排出計画に対する国際監督の強化を強く主張し、積極的に推進し、同計画に対する長期的な国際監督体制を継続的に改善している」
自国の原発の排水を棚に上げ、『IAEA』の調査結果も無視し、非科学的な主張を続けているのです。この主張を見ても、日中首脳会談など何の役にも立たなかったことが分かります。
傑作なのは、このド偉そうな中国が『IAEA』の分担金を先送りし、支払っていないことです。09月下旬の時点で、2023年度の分担金「約97億円」全額の納付を保留し、11月上旬時点でも半額しか拠出していません(以下の『日本経済新聞』の報道による)。
『IAEA』に圧力をかけているつもりなのでしょう。中国はそのそも国際法を守らない無法国家ですが、目的のためには手段を選びません。約束を守りませんので国際機関に入れるべきではないですし、中国に依存してはいけません。
(吉田ハンチング@dcp)