経営の健全性という意味でも先行きが懸念されている韓国の『貯蓄銀行』。
『貯蓄銀行』は第2金融圏に属し、第1金融圏ではお金を借りにくい信用スコアの低い人を対象に融資する――という商売をしてきました。『貯蓄銀行』は所得脆弱層にとっては、非常に重要な貸し手です。
ところが、この重要な貸し手がお金を絞っているというデータが出てきました。
『貯蓄銀行中央会』によると中金利ローンの融資金額が激減しているのです。この「中金利ローン」というのは、信用スコアが良くなくても貸してくれる(その代わりリスクがあるので第1金融圏より利子が高い)、韓国の代表的「庶民ローン」です。
具体的には、『貯蓄銀行』が自主的に信用下位50%の個人の貸し手にも融資する貸付制度で、最高金利は17.5%を超えません(でした)。
いわば、比較的経済的に苦しい人でも貸してもらえる融資制度で、そのため庶民ローンの代表的なものなのです。
ところが……以下をご覧ください。
民間「中金利」新規融資(ローン)
2022年:10兆7,842億ウォン
2023年: 6兆1,598億ウォン(-42.9%)2022年:62万5,870件
2023年:39万1,506件(-37.4%)
※データ出典:『貯蓄銀行中央会』
2023年は新規融資の金額が「42.9%」も減少しました。取り扱い件数は「37.4%」減少です。
これは、庶民への融資が縮小していることを示しています。
韓国の基準金利が上昇して、銀行の調達金利が上がったのに、上限貸し出し金利は20%と定められているため、銀行の取れる利幅が縮小※――その結果、リスクの高い人への貸し出しを拡大することができないのです。
※これに加えて韓国の金融当局が「貸し出し金利を上げるな」と圧力を掛けています。
銀行の健全性を担保するためですが、しかしこれによって、信用スコアが低い人に法定金利内で貸し出してくれるところがなくなると大問題です。
信用スコアが低い人が、いわゆるサラ金、さらには私債に手を出すと……それこそ破綻に一直線です。『貯蓄銀行』の中金利ローン貸し出しが急激に縮小しているということは、その分をどこか別の貸し手(恐らく高金利)が代替していると見なければなりません。
あまり日本では報じられませんが、韓国は非常に不景気ですし、また融資のお金が「庶民に回らなくなってきた」という現状なのです。借りられない人が増加するという話ですから、貧富の格差が拡大する方向に動いていることも意味します。
(吉田ハンチング@dcp)