2019年07月01日、日本政府は「韓国向け輸出管理の運用の見直し」を発表しました。以降、輸出管理強化が実施され、「レジスト」「フッ化水素」「フッ化ポリイミド」を韓国に輸出するには「個別許可」が必要となりました。
これらは半導体製造に関わる基幹素材であったため、韓国では大騒ぎとなり、いまだにそのドタバタは続いています。
韓国は日本政府の措置を受け、自国内でこの三品目を自給できるように企業に促していますが、このような基礎素材の分野で一朝一夕に成果を挙げるのは難しいのが現実です。輸出管理強化以降、韓国企業は三品目の入手に苦労したことは想像に難くありません。
では、2019年、この三品目について韓国はどこからどのくらいの量を輸入したのでしょうか。
韓国貿易協会を出典とする『JETRO』(Japan External Trade Organizationの略:日本貿易振興協会)が作成したデータがありますので、以下に引用してご紹介します。
韓国の半導体主要素材の国・地域別輸入額 (金額の単位は1,000ドル)
レジスト | |||
2018年 | 2019年 | 前年比 | |
日本 | 298,891 | 268,422 | -10.2% |
アメリカ合衆国 | 18,508 | 21,041 | 13.7% |
ベルギー | 2,639 | 14,034 | 431.7% |
台湾 | 10 | 366 | 3,746.0% |
合計 | 320,692 | 304,096 | -5.2% |
※レジスト(HS 3707901010)
フッ化水素 | |||
2018年 | 2019年 | 前年比 | |
中国 | 82,974 | 57,460 | -30.7% |
日本 | 66,857 | 36,335 | -45.7% |
台湾 | 9,062 | 17,832 | 96.8% |
アメリカ合衆国 | 530 | 1,253 | 136.5% |
合計 | 159,512 | 112,927 | -29.2% |
※フッ化水素(HS 2811111000)
フッ化ポリミイド | |||
2018年 | 2019年 | 前年比 | |
日本 | 19,726 | 31,456 | 59.5% |
台湾 | 1,719 | 1,793 | 4.3% |
中国 | 662 | 287 | -56.5% |
アメリカ合衆国 | 89 | 126 | 41.8% |
合計 | 23,336 | 33,824 | 44.9% |
※フッ化ポリイミド(HS 3920999010)
日本からの輸入だけに限ってみると、
レジスト:10.2%減少
フッ化水素:45.7%減少
フッ化ポリイミド:59.5%増加
となっています。
輸出管理強化によって、韓国は三品目全てで日本からの輸入量が減ったわけではないのです。実は「フッ化ポリイミド」は約60%も輸入量を増やしています。さて、なぜでしょうか?
※「HS」は「HSコード」を示しています。HSコードとは、「商品の名称及び分類についての統一システム(Harmonized Commodity Description and Coding System)に関する国際条約(HS条約)」に基づいて定められた番号です。
(柏ケミカル@dcp)