中国といえば、いりもしないインフラ開発が持ち味。地方政府は土地の貸し出し収入を基盤に、大規模なインフラ開発を進めてきました。
これがGDPも押し上げることにもなったわけですが、野放図なこの開発もいよいよ限界に達したと見えます。当たり前ですが、例えば利用客のほとんどいない高速鉄道など造ったところで、債務が拡大するだけです。
収益が得られないのですから。
どうやって借金を返すかというと、返す目処が立たないままに、次の開発案件を造るわけです。次へ次へと債務の雪だるまを作りながら、「GDPが上昇した! 中央から評価されるぞ!」を続けてきたのです。
日本人からすれば、いや自由主義経済国からすれば「ばかなんじゃねーの」なのですが、これが中国経済の本質です。
穴を掘って埋めるだけでもGDPは増加しますので、こんなものはイナゴが次へ次へと作物を食べていっているだけです。債務がたまりすぎて借金もできないし、もうインフラ開発も限界となればこの自転車操業はおしまいなのは自明のことです。
なぜ「もう限界」と分かるかというと、2024年07月23日に「09月01日施行!」で「都市インフラ資産管理措置法(試行)」が出ているのです。
附則第45条まである長い法文ですが、この中に傑作な箇所が幾つかあります。一番面白いのは以下の第13条です。
第十三条
政府投资建设的市政基础设施资产应当依法严格履行基本建设审批程序,落实资金来源,加强预算约束,防范政府债务风险。严禁为没有收益或收益不足的市政基础设施资产违法违规举债,不得增加隐性债务。第十三条
政府が投資して建設する市政インフラ資産については、法律に基づいて厳格に基本建設の承認手続きを履行し、資金の出所を確保し、予算の制約を強化し、政府の債務リスクを防止しなければならない。収益がない、または収益が不足している市政インフラ資産に対して、不法・不適切な借り入れを行うことを厳禁とし、潜在的な債務を増加させてはならない。
収益性のないものについて、勝手に借り入れしたりするな! 債務を増加させるようなことするな!――という中央政府の怒りと焦りが十二分に感じられます。
これまで中国では「いい加減な予算」「いい加減な借り入れ」で「いい加減なハコモノ行政(っぽいこと)」を行ってきました。
この法律は「もうアカン」という表明に他なりません。そのため「いよいよ限界」と見られるのです。
(吉田ハンチング@dcp)