「ちょっと待て、おい!」――と突っ込みたい情報が出ました。
まず2024年10月28日、韓国の企画財政部(財務省に相当)が「経済関係長官会の開催」というプレスリリースを出しました。
崔相穆(チェ・サンモク)副首相兼企画財政部長官は 10月28日(月) 07:30、政府ソウル庁舎で経済関係閣僚会議を主宰し、
「最近の景気動向及び対応方向」、
「2024年税収再推計に伴う財政対応方策」などを議論しました。
崔副総理は、景気関連の不確実性に特に留意しながら、内外情勢と部門別の影響を綿密に点検し、積極的に対応していくと述べました。
副首相(主宰)、行政安全部・農食品部・産業部・環境部・国土部・海洋部・中小企業部・国税庁・金融委員会などの長・次官、国際金融センター副院長が出席
本日の会議では、国際金融センターから出席し、「中東情勢の動向及び展望」を報告しました。
これと関連し、崔副総理は、特別な警戒心を持ち、あらゆる可能性に備え、必要な場合、関係機関共助の下、状況別対応計画(Contingency plan)に基づき迅速に対応していくことを明らかにしました。
一方、本日の会議では「海苔産業の競争力強化方策」も議論されました。
⇒参照・引用元:『韓国 企画財政部』公式サイト「経済関係長官会の開催」
「海苔」の話は面白いが……
1ページのペラ1枚のプレスリリースで、中東情勢の韓国への影響などを話し合ったのかね――というプレスリリースです。
要注目なのは最後の「海苔産業の競争力強化方策」ぐらいかしら――に見えます。
なにせ韓国の輸出(成長が期待できそうな輸出品目)は「ラーメンと海苔とK-POP」になりつつありますので。
これはこれで大笑いなのですが、同時に配布された「副首相のすべて発言」という資料の最後が見逃せない部分でした。
「韓国政府にはお金がない」のです!
以下をご覧ください。
[2024年税収再推計に基づく財政対応策]
□今年度の税収不足による国民生活・経済への影響を最小限に抑えます。
ㅇ国税収入の再推計(9月26日)に基づき、今年度の予算に対して不足が見込まれる29.6兆ウォンに関する財政対応策を関係省庁との協議を経て策定しました。
ㅇ政府は追加の国債発行を行わず、利用可能な財源を活用し、今年度の歳出予算をできる限り円滑に執行します。
□ ここから先の会議は非公開で行います。
⇒参照・引用元:『韓国 企画財政部』公式サイト「副首相の全発言」
Money1でもご紹介しましたが、企画財政部は「2024年の総収入が対前年同期比で約30兆ウォンショートする」ことを、10月も終わるこの時点で再確認しました。
崔副首相は、国債の追加発行を行わないと明言しました。
「利用可能な財源」からショートする資金を持ってくる――というのですが、そんなものありましたっけ?――なのです。
公的基金から資金を引っこ抜いて一般会計に持ってくる!
同日、「2024年税収再推計に基づく財政対応策」を策定しているのですが、これが非常に苦しいプランです。
まず、基金・特別会計から14兆~16兆ウォンを取り崩し、政府の一般会計に投入します。
第一に、政府が余裕資金を集めて管理する公共資金管理基金(公資基金)から約4兆ウォンを抜いて、財政事業の支出に充当します。さらに以下の基金からも抜きます。
外国為替平衡基金:4兆~6兆ウォン
住宅都市基金:2兆~3兆ウォン
国有財産管理基金:3,000億ウォン
といった他の基金や特別会計からも公資基金に資金を拠出し、税収不足を補填するつもりです。これらの資金を公資基金に集め、その後一般会計に移転するのです。
特にご注目いただきたいのは、外国為替平衡基金です。
何度もご紹介しているとおり、ここにプールされるお金は外国為替平衡基金債券(略称「外平債」)を発行して得た「外貨」で、いざというときに外為市場を安定させるために使われるもの。
それを引っこ抜いて一般会計に持ってこようというわけですから、どれだけお金がないのか――なのです。
地方交付税・交付金も給付を止める!
また、「今年度の歳出予算をできる限り円滑に執行します」と述べていますが、「できる限り」というところがミソで、できないところは手当しないよ――という意味に他なりません。
実際、韓国中央政府は地方交付税・交付金を一部給付していません。
お金がないので、2024年の予算比で6兆5,000億ウォンを削減することにしました。2024年度は支出を保留し、2年後に補填するというのです。
交付税:当初予算比で2兆2,000億ウォン減額
交付金:4兆3,000億ウォン減額
これで、まともに地方政府の財政が回るのか?――です。
韓国政府の財政は本格的に傾いています。知らんぞー。
(吉田ハンチング@dcp)