中国では鉄鋼企業が次々飛ぶ、という事態になっています。
Money1でもご紹介しましたが、村営から出発して有名企業にまで発展した『東嶺集団』が2024年08月に突然破綻しました。
不動産市場が壊滅して建設業の需要が減ったこと、またコスト高によって採算が合わなくなったことが主な原因です。
需要が減少して低価格の叩き合いでレッドオーシャン、ただでさえコストが上がって採算が取れなくなっていますので、鉄鋼企業が青息吐息になるのは当然です。
2024年に始まった話ではなく、2023年にはすでに「閉鎖・倒産・合併」の動きが注目されていました。
「鉄は国家なり」という言葉がありますが、中国共産党政府としてはここで鉄鋼企業がバタバタ倒れられるのは困ります。そのため、「再編」というので、鉄鋼企業のマージを進めています。それでも救済できない会社が飛んでるのです。
この波に外国企業も巻き込まれています。
韓国を代表する鉄鋼メーカーである『POSCO(ポスコ)』が、1997年に設立した『張家港浦項不銹鋼』(PZSS)を売却する意向であることが分かりました。
同社は、『ポスコホールディングス』『ポスコチャイナ』が82.5%の株式を持っていますが、残りは『江蘇沙鋼集団有限公司(Jiangsu Shagang Group Co., Ltd.)』が保有しています。
この『沙鋼集団』は1975年に設立され、現在では中国を代表する鉄鋼会社となっています。
『ポスコ』が株式を売却する理由は赤字続きだからです。
上掲記事でもご紹介しましたが、『POSCO』の営業利益は激減しています。「中国のせい」というのは大当たりで、中国事業は2023年には「1.3億ドル」の営業赤字を出しました。
しかし、『ポスコ』が中国に持っている製鉄工場は巨大な生産力を持っています。ステンレス鋼を年間200万トンも生産できるのです。生産を続けても赤字ですから、手を引くのは当然の決断といえるでしょう。
『朝鮮日報』の報道によれば――『ポスコ』の関係者は「現在、アドバイザーの選定段階にあり、売却を含むさまざまな方法を検討中」と述べた――とのこと。
中国の安値叩き合いには誰も勝てないという証明です。
中国企業はその過剰生産性を海外市場に向けています。襲い来る中国産のイナゴの群れです。たまったものではありません。
(吉田ハンチング@dcp)