違う違う、そうじゃない――だそうです。
韓国は何にでも「K」を付けるヘンな国です。自国オリジナルなものがないので「韓国型」と誇りたいのでしょう。
なにせ「K中華料理」なんてジャンル名(?)まで披露する国です。
「韓国型衛星航法システム(KPS)」というものがありまして、総額4兆ウォンを投入する予定のビッグバジェットプロジェクトです(ただし14年間で4兆ウォン)。
韓国独自のGPS衛星を打ち上げて測位システムを構築しようというもの。これが遅延している――という報道が出ました。
遅延の理由は「(衛星の)設計失敗」と報じられています。
設計失敗で計画が遅延している
本件は複数のメディアが報じていますが、韓国メディア『ソウル経済』の記事から一部を以下に引用します。
29日、宇宙航空庁によると、宇宙庁および韓国航空宇宙研究院KPS開発事業本部などの関係者が参加した「KPS基本設計レビュー会議」で、KPS衛星の設計に欠陥が発見され、補正と点検のために1号機の打ち上げスケジュールを再検討することが決定された。
衛星に搭載される航法装置の予備設計レビュー過程で、技術的に不足している部分があると指摘され、修正が必要との「設計失敗(FAIL)」の結論が下されたのだ。
この設計の修正に伴い、打ち上げスケジュールの調整が避けられない中、一部の委員は14か月の打ち上げ延期が必要だと主張している。
宇宙航空庁の関係者は「会議で出た意見をもとに、打ち上げ延期の可否や期間などの対応策を導き出す予定」と述べ、「具体的な案がまとまり次第、年末ごろに宇宙開発振興実務委員会傘下の衛星航法小委員会で審議される」と説明した。
この決定により、14年間で総額4兆ウォンを投入する大規模プロジェクトが、技術力の不足により遅れが生じる可能性が懸念されている。
一部では、宇宙航空庁の人材不足によるリーダーシップの欠如が原因であるとの分析も出ている。
宇宙航空庁は今年05月の開庁以来、公的および民間部門から専門家を採用しているが、依然として約半数のポジションが埋まっていない。
当初の期待に反し、アメリカ航空宇宙局(NASA)など先進国出身の著名な研究者の採用にも苦戦している状況です。
Money1でもご紹介しましたが、韓国の宇宙航空庁は、(よせいばいいのに)韓国版NASAとぶち上げ、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領の肝いりで開庁されました。
いわば「K-NASA」です。
↑2024年05月27日、ユン・ヨンビン宇宙航空庁長が初出勤した際の写真。
勢いでつくったため、人材確保にも事欠く有り様です。大統領が変わるたびに政策がころっと変わりますので、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領が退任した後もきちんと予算がつくのかすら疑問です。
↑『韓国航空宇宙研究院』という組織が別にあって、ここが韓国型精密GPS位置補正システム(KASS)開発事業を主管しています。
今回のGPS衛星の開発については「設計失敗」であったとメディアは報じました。これに対して……。
違うそうじゃない!
宇宙航空庁は反論のプレスリリースを出しました。以下に引用してみます。
1. 主な報道内容(毎日経済、2024年11月29日)
「4兆ウォンを投入する宇宙開発が混乱、『韓国型GPSの打ち上げ延期』」という記事に関連。2. 説明内容
(1) 設計失敗の判定および打ち上げ延期に関する事実
「KPS予備設計レビュー会議(PDR)で設計失敗の判定が下された」という主張や、それに伴い「KPS衛星1号機の打ち上げが14か月延期された」という内容は事実と異なります。今年10月にKPSの搭載機器および地上システムに関する予備設計レビュー会議を実施しましたが、搭載機器については技術的複雑性を考慮し、一部の項目を補完する予定であり、「設計失敗」との判定はしておりません。
現在、KPS開発事業全般について外部の専門家を中心に綿密な点検を進めており、具体的な推進スケジュールは点検結果が出次第、衛星航法小委員会など関連意思決定機関を通じて確定する予定です。
(2) KPS事業管理体制の問題に関する主張
「KPS事業の管理体制が杜撰である」という主張は事実と異なります。宇宙航空庁は開庁後、KPS開発事業に参加する各省庁との月例会議体を新設し、KPS開発事業に対する総合的な点検を実施するなど、事業管理体制を強化してきています。
(3) 密室運営に関する主張
「KPS事業団が密室運営されている」とし、「事業進捗点検のため外部委員会が必要」とする主張も事実と異なります。2023年から外部専門家で構成された「専任評価団」を設置し、運営しています。
(4) 宇宙航空庁の人員採用
宇宙航空庁の人員採用は民間専門家の採用などを経て、今年末までに定員比90%の水準を達成する予定であり、当初の計画通り進行中です。
以上。⇒参照・引用元:『韓国宇宙航空庁』公式サイト「宇宙航空庁はKPS開発事業が正常に進行できるように綿密に管理していきます」
設計失敗と判断したことはない――と否定していますが、その一方「14カ月の打ち上げ延期」については否定していません。「具体的な推進スケジュールは点検結果が出次第に決定」と説明しているので、「遅延が発生する」ことは、本当だと思われます。
(吉田ハンチング@dcp)