韓国の鉄鋼業が危機的な状況になっており、与野党が合同で「K-スチール法」なるものを発議しようとしております。
実はもうひとつ、業績が傾いて「危なく」なっていると注目されている業種があります。
「石油化学」関連の業種です。

↑データ出典:『韓国 関税庁』公式サイト
上掲のとおり、韓国の石油製品は十大輸出品目にカウントされており、2025年08月01~10日だけで輸出金額は「12億2,300万ドル」あり、半導体の「38億9,700万ドル」に次ぐ規模です。
注目いただきたいのは、上掲の「12億2,300万ドル」ですが、対前年同期比で「-19.4%」と急減少していることです。
2025年08月14日、韓国の産業通商資源部は以下のようなプレスリリースを出しました。
石油化学産業の危機克服、民間と官が力を合わせる必要
産業部長官、ハンファオーシャン巨済造船所の現場訪問で表明 –
石化産業の構造改革に関する政府方針を8月中に発表予定 –
産業通商資源部(以下、産業部)の金正寛(キム·ジョングァン)長官は、08月14日(木)12:00、ハンファオーシャン巨済造船所で開催されたLNG運搬船の命名式直後、ハンファオーシャン関係者らが出席する中で昼食懇談会を開き、K-造船の飛躍に尽力した関係者を激励しつつ、石油化学産業の危機も官民が力を合わせれば克服できると述べた。
出席者:産業部長官、製造産業政策官、ハンファオーシャン代表(金熙喆〈キム・ヒチョル〉)ほか
金長官は、現在のわが国造船産業の目覚ましい成功の背後には、痛みを伴う時期があったことを想起させながら、「2010年代後半の受注低迷期を、資産売却、事業調整などの成功した自助努力と構造調整によって克服し、韓米間の関税交渉の核心業種として貢献した」と述べた。
また金長官は、最近危機に直面している石油化学企業も、過去の造船企業の構造調整努力を手本として、石化業界全体の共同努力と責任ある経営が必ず必要だと指摘した。
金長官は、石油化学産業の現状を厳しく認識しているとし、業界が一致団結して設備調整などの自主的な事業再編に参加すべきだと述べ、「タダ乗り」する企業には政府全体で断固として対応することを強調した。
産業部は、去る07月から第1次官と10社余りの企業代表との個別面談を通じて、石油化学分野の事業再編について緊密に協議しており、石油化学産業の構造改革に関する政府方針を08月中に発表する予定である。
産業通商資源部の部長(長官)自身が「石油化学産業の危機」と認めています。
何が起こっているのでしょうか。
石油化学関連業種全体で業績が急激に悪化! 背後にはイナゴ中国
韓国の石油製品関連企業の業績は急速に悪化しています。
『ロッテケミカル』の業績が傾き、グループ会社の『ロッテ』が「ロッテタワーを担保に入れてやらあ」と啖呵を切ったのは先にご紹介したとおりです。


『ロッテケミカル』だけの業績が悪化しているわけではなく、実は韓国の石油化学関連業種全体が危機的な状況にあるのです。
これには、過剰生産性で他国を食い荒らすイナゴような中国の影響が大きいのです。
韓国の石油化学関連業界は2023年後半以降、
・世界的な景気減速
・中国経済の低迷
・供給過剰
・原料高騰
などの影響で、利益が急減しています。
特に中国は自国内でエチレンやポリエチレンなどの生産設備を急増させ、韓国からの輸出価格を押し下げています。
韓国国内の大手(『LG化学』『ロッテケミカル』『ハンファケミカル』etc)も設備稼働率を下げざるを得ない状況となっているのです。

実際、2025年08月12日には上掲のとおり、『朝鮮日報』が「『LG化学』金泉・羅州工場の設備を撤去…石油化学不況の長期化で構造調整」という記事を出しました。
産業通商資源部は2025年07月以降、業界トップと個別会談を行い、「設備調整」「非効率ラインの停止」「事業統合」などの自主的再編案を協議しています。
韓国の石油化学関連企業は、再編まったなし――です。
産業通商資源部は「石油化学産業の構造改革に関する政府方針を08月中に発表する予定である」としていますので、遠からず政府の絵図が出るでしょう。
(吉田ハンチング@dcp)







