韓国企業は米国に10兆円以上を投じることになる。

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2025年10月29日、アメリカ合衆国のホワイトハウスは「Fact Sheet(ファクトシート)」を出しました。

先に全文和訳した記事を上げましたが、米韓関税交渉妥結というので、これだけのお金を韓国からむしります――みたいな内容なのですが、トランプ大統領と政権の成果を誇るためのものです。

やるなトランプ」と国民から思われるための文書なので、いささか扇情的なのです。

例えば、韓国の『大韓航空』が合衆国の『Boeing(ボーイング)』から航空機を103機買います――という話が冒頭にきています。

初見の方は「えらい話になったな」と思わるかもしれませんが、この話は実は既出です。

2025年08月25日にすでに『ボーイング』が以下のようにプレスリリースを出しています。

面倒くさい方は以下の文書の中に、『大韓航空』が「何を何機買うのか」が明示されていますので、そこだけ見て先に進んでください。


↑Googleの自動翻訳なので日本語がヘンなところがありますがご寛恕ください。

大韓航空、保有機更新のため記録的な水準の「103機のボーイング機購入」を約束
2025年08月25日

韓国の旗艦航空会社は、777-9、787-10、737-10および777-8貨物機を購入し、世界的ネットワーク全体で燃料効率を最適化する意向

この約束は同社にとって過去最大のものであり、2025年3月のボーイング大型旅客機40機の発注に続くものとなる

ワシントン、2025年08月25日/PRニュースワイヤー/― ボーイング[NYSE:BA]と『大韓航空』は本日、『大韓航空』が保有機の近代化と、今後数年間にわたりアシアナ航空との運航統合を完全に進めていく過程での成長を支援するため、ボーイングの燃料効率に優れた航空機ファミリー103機を購入する意向を発表した。

『大韓航空』のこの約束は、同社にとって史上最大の発注であり、アジアの航空会社によるボーイングのワイドボディ機としても最大規模の注文となる。

契約が最終化されれば、この取引は『大韓航空』にとって初の777-8F発注となり、合衆国内で約13万5,000人の雇用を支援することになる。

発注が完了次第、ボーイングの「Orders & Deliveries(受注・納入)」ウェブサイトに掲載される予定であり、その内容は以下のとおりである:

777-9型機:20機
787-10型機:25機
737-10型機:50機
777-8貨物機:8機

(中略)

今回の合意は、米韓ビジネス円卓会議「製造業ルネサンスのためのパートナーシップ(Partnership for a Manufacturing Renaissance)」の場で署名され、米国商務長官ハワード・ラトニック氏と韓国産業通商資源部(MOTIE)の金正官(キム·ジョングァン)長官が立ち会った。
(後略)

⇒参照・引用元:『Boeing』公式サイト「大韓航空、機体近代化のためボーイング機103機を過去最高の購入を決定」

(MOU(了解覚書)はまだ交わされていませんが)、関税交渉が妥結したとされる10月29日の約2カ月前、韓国の『大韓航空』は、103機も飛行機を買うことを強いられていたのです。

ご注目いただきたいのは、ラトニック商務長官(食わせ者!)と産業通商資源部の金正官(キム·ジョングァン)部長(長官)が立ち会っていることです。

つまり、韓国側は逃げられません。

ホワイトハウスが出したプレスリリースで具体的に金額が挙がっているカ所だけピックアップしてみると、以下のようになります。

『大韓航空』:ボーイング機103機の購入コミット……362億ドル
『大韓航空』:『GEエアロスペース』からエンジンの供給契約……137億ドル
韓国空軍のAWACS開発(『L3Harris』※1を選択)……23億ドル
『HD現代』(サーベラスと共同で):合衆国の造船所近代化への共同投資……50億ドル
『ハンファ・オーシャン』:フィリー造船所の拡張・能力増強……50億ドル
『LSグループ』:合衆国の電力グリッドへの投資(~2030年)……30億ドル

※1『L3Harris Technologies,Inc.』は合衆国の防衛・航空宇宙・通信電子機器メーカーです。特に電子戦(EW)・通信・レーダー・指揮統制システムに強みを持っています。

合計は、652億ドル約10兆493億円)です。

2025年10月31日の「1ドル=154.13円」で円に換算。

金額が明示されていないものの中では、

『韓国ガス公社』が合衆国のLNG生産企業(Cheniereなど)からポートフォリオおよびオフテイク契約を通じて、年間約330万トンのLNGを長期契約で購入する合意書に署名した。

――と書かれています。

これが幾らになるかというと、ざっくり約1億ドルと推測できます。

この計算が正しければ、ファクシートに書かれた韓国企業が合衆国企業に投じる資金は「653億ドル」になります。

他にも挙がっていながら幾らになるのか推測できない項目もありますが、いずれにしても10兆円超えの巨額であることは確かです。

ただし、総額は巨額に見えますが、実際の負担は複数年にわたる支払フローに分散されます。

大丈夫なのかといえば――韓国の企業全体では無理スジとはいえないものの、「国として無理筋ではない」が、財務負担は大きく、航空・造船などでは慎重な資金繰りが必要になると思われます。


↑2025年10月29日、米韓韓米交渉妥結について記者ブリーフィングを行う金容範(キム·ヨンボム)大統領室政策室長。なぜこんな深刻な顔になっているかというと、深刻な状況だからです。

企業よりも深刻なのは韓国政府です。


「ポートフォリオ契約」は、複数の供給源(プラントや販売権益)を持つ売主が、自社の「供給ポートフォリオ」から柔軟にLNGを販売する契約のこと。

「オフテイク契約」は、生産者が建設・操業するLNGプラントなどから、買主が一定数量を直接引き取る契約です。

(吉田ハンチング@dcp)

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