あまり品のいい喜び方とは申せません。
2025年12月23日、韓国の『サムスン電子』は子会社『ハーマン』を通じてドイツ『ZFフリードリヒスハーフェン（ZF）』のADAS（先進運転者支援システム）事業を15億ユーロ（約2兆6,000億ウォン）で買収すると公表しました（以下はSAMSUNGが出したプレスリリース）。
※『Harman International Industries,Inc.』（ハーマン・インターナショナル・インダストリーズ）は、アメリカの電子機器企業で、現在は Samsung Electronics（サムスン電子）の100％子会社。
※『ZF Friedrichshafen AG』（ZFフリードリヒスハーフェン）は、ドイツに本拠を置く世界的な自動車部品サプライヤーで、高度なモビリティー製品およびシステムを供給するグローバルテクノロジー企業。
この事業買収劇を受けて、ドイツにの有力紙『Die Welt』は以下のような記事を出しました。
南ドイツの自動車部品サプライヤーZFは、緊急にその負債の山を減らさなければならない。
そのため、自動運転にとって重要になる技術を扱う事業を、サムスンの子会社ハーマンに売却する。韓国企業は自動車業界においてますます重要になっている。
つい先日、苦境にある自動車部品大手ZFの新社長は、重くのしかかる負債の山を減らすために企業の一部を売却しなければならないと発表したばかりだった。
そして今、クリスマスイブの前日に、最初の大きな塊が確定した――しかもそれはよりによって将来分野である。ZF社長マティアス・ミートライヒは、運転支援システム部門を15億ユーロで韓国のサムスンに売却する。
これによりZFは、自動車の将来にとって決定的になり得る技術分野を失うことになる。
なぜなら、もはや単に運転を少し安全にするという話ではなくなっているからだ。
ZFがこれまで当該部門で製造してきた計算プラットフォーム、知能化されたカメラおよびレーダーシステムといった部品は、自動運転用システムの構成要素でもある。
しかしZFは深刻な危機の中にある。2028年末までにドイツ国内で最大14,000人の雇用が削減される見通しだ。ZFはエンジン事業への依存度が高く、電動化への転換のただ中にあるためである。さらにZFは、世界の自動車市場における低迷した需要の影響も受けている。
（後略）
『フォルクスワーゲン』がドイツ国内の工場売却を行うなど、ドイツの自動車産業は大きな曲がり角を迎えています。自動車部品メーカーの『ZF』も例外ではなく、大きな債務を抱えてるため、ADAS（先進運転者支援システム）事業を『サムスン電子』の子会社に売却することになってしまった――と報じています。
世界中の企業が「高度な自律走行」実現に向けてしのぎを削っていますが、この売却は将来を売るようなものだ――と嘆いています。
報じ方が、いかにも韓国の皆さんが喜びそうなもので、実際、韓国メディア『Chosun Biz』は次のように報じています。
記事のタイトルは「”韓에 미래 먹거리 빼앗겼다”… 삼성 車 전장 사업 공세에 한숨 쉬는 유럽（『韓国に将来の食い扶持を奪われた』…サムスンの車載電装事業の攻勢にため息をつく欧州）」
（前略）
24日、ドイツ有力日刊紙ディ・ヴェルト（Die Welt）をはじめとする主要メディアは、今回のサムスン電子によるZF買収について「財務的圧迫に耐えられず、将来の食い扶持を売却した」という評価を下した。ディ・ヴェルトをはじめとする他のドイツメディアも、現地専門家の話を引用して「欧州が規制と分裂の中でスピードを失っている間に、アジア企業は攻勢的に将来技術を買い集めてきた」と伝えた。
（中略）
将来の食い扶持事業としてADASを育成してきたドイツ現地では、自国の先端製造業基盤の一つが『サムスン電子』の次世代事業ポートフォリオの中に編入されたという危機感も出ている。
またドイツのみならず欧州全域の自動車部品製造業モデルが、急速に変化するグローバル自動車電装部品供給網の中で疎外され始めているという批判も出ている。
（後略）⇒参照・引用元：『Chosun Biz』「”韓에 미래 먹거리 빼앗겼다”… 삼성 車 전장 사업 공세에 한숨 쉬는 유럽」
――で、冒頭に戻ります。
あまり品のいい喜び方とは申せません。
（吉田ハンチング＠ｄｃｐ）
