韓国は監査シーズンに入りました。
韓国は何かというと「なんとかファンド」「○○○基金」を作るヘンな国ですが、国土交通部主管の『PISファンド』で大問題が発生しています。
この『PISファンド』が何なのか――が分からないと何が起こっているのかが理解できないため、面倒くさいのですが、『PISファンド』についてまずご紹介します。
できるだけ簡単にやっつけますので、お付き合いください。
『PISファンド』とは何なのか
綴りこそ違いますが「ピス・ファンド」と聞けば「ナニその名前?」と誰もが思うでしょう。
まず仕組みを説明します。
『PISファンド』の「PIS」はPlant・Infrastructure・Smart Cityの頭文字と取ったものです。
韓国企業が海外で道路、鉄道、発電所、都市開発などを受注する際、単に「建設工事を請け負います」ではなく、韓国側も事業に出資・融資してプロジェクトそのものに参加するためにつくられた政策ファンドです。
『韓国海外インフラ都市開発支援公社』(略称「KIND」:以下略称で表記)の公式説明によれば、政府・公共機関のお金を「マザーファンド」に入れ、それを呼び水に民間資金を集めて子ファンドを作り、海外プロジェクトのSPC(特別目的会社)の株式や融資債権などを買う構造です。

↑『韓国海外インフラ都市開発支援公社』(KIND)の公式サイト。
つまり――、
政府・公共機関の資金
↓
マザーファンド
↓ +民間資金
子ファンド
↓
海外プロジェクトSPCへ出資・融資
↓
韓国建設会社が工事・設備・運営などを受注
――という仕組みになっています。
狙いは(ひとまず)合理的といっていいです。
巨大な海外インフラ案件では、「建設できます」だけでなく「資金も一緒に持ってきます」というファイナンス能力が受注競争を左右するからです。
「PISファンド」は、その第1段階投資として「1兆5,000億ウォン」を投資しました。
第1段階PIS
-政府・公共機関:6,000億ウォン
-民間:9,000億ウォン
合計:1兆5,000億ウォン
――です。
『KIND』の2026年資料によると、第1段階は29案件、投資承認額1兆4,665億ウォンに達しています。
これらの案件全体の総事業費は655.9億ドルで、『KIND』は「PISファンド」によって韓国企業の海外受注約20.4億ドルを支援したとしています。
つまり、国土交通部・『KIND』から見れば――、
約1.5兆ウォンを政策金融として投入して、約20.4ドル規模の韓国企業の海外受注・輸出につなげた
――というのが「成果」です。
ここまでは政府がこれまで宣伝してきた部分です。ところが……です。
「丸損案件」が出た!
投資というのは自己責任が基本。投資のすべてが成功するわけではありません。
今回の国政監査資料で問題点も明らかになってきました。
29案件のうちインフラファンドのある1案件について、財務状況が悪化し、
投資額:346億ウォン ⇒ 回収価値:0ウォン
――として全額償却されています。
これは「評価額がちょっと下がった」という話ではありません。346億ウォンの投資元本を全額損失処理したということです。
「丸損」です。
さらに別の「提案型ファンド」の原油輸送施設関係の1案件では、「103億ウォン減損の損失」が計上されています。
「3,781億ウォン回収」の中身が……
もっと重要なのが「3,781億ウォン回収」の中身です。
国土交通部は「13カ国29案件から3781億ウォンを回収した」と説明しています。
これだけ聞くと「1.5兆投資 ⇒ 3781億回収済み」に見えます。
ところが、ユ・サンボム議員室が調べると、この3,781億ウォンには、元本だけではなく融資利息なども含まれていました。
また、約1兆ウォン規模の投資元本が依然として回収されず、プロジェクトに残っています。
「約1兆ウォン未回収」が「1兆ウォン損失」を意味するのではありません。問題は、その巨大な未回収残高を抱えている段階で、すでに元本全損案件が出始めたこと――です。
しかも29案件中6案件は、まだ着工すらしていなません。
さらに国政監査資料によると、2026年08月現在、第1段階29案件のうち「6案件」のステータスは「着工前」でした。
内訳は、
-プラント:5案件中2件
-インフラ:8案件中1件
-スマートシティ:8案件中3件
つまり第1段階は「1.5兆ウォンの投資を完了した」と政府が発表している一方で、投資対象29案件のうち6案件では建設工事そのものが始まっていない――という状況なのです。
誰もが「ダイジョブなの?」――と思うでしょう。
(吉田ハンチング@dcp)





