韓国が「国産」と誇る戦闘機「KF-21」の話です。試作機が6機製造され、各種テストをこなしながら、量産の準備が進んでいます。
KF-21の生産は、Money1でもご紹介したとおり、すったもんだの揚げ句に40機となりました。2027年までに最初の量産分20機、2028年までに追加生産分20機――で計40機です。
ただこの20機分の武装が非常に懸念される状況です。
対地兵装は「後から」なので、空対空ミサイルが使えなければならないのですが、現在使用できるのはドイツ『Diehl(ディール)』製の短距離空対空ミサイル「IRIS-T」(赤外線画像誘導ミサイルで「AIM-2000」という名称でも知られています/射程約25km)、欧州の『MBDA』製の長距離空対空ミサイル「Meteor(ミーティア)」(射程約200km)です。
なぜ合衆国製のミサイルが搭載できないのか――ですが、これは合衆国側が拒否しているからです。
※2024年の防衛事業庁への国政監査で、KF-21には合衆国製の空対空ミサイルは「使用できない」と明らかになりました。
韓国空軍は、KF-21用にAIM-9Xサイドワインダー、AIM-120を希望していたのですが、実りませんでした。で、仕方なく「合衆国製以外での空対空ミサイルなんかないか」となったわけです。
韓国にとって嫌な話は、ミーティアが高価だという点です。2025年時点で1発約320万ドル。AIM-120(C-8)が約137万ドルですから、ミーティアは約2倍するのです。
「あるだけいいじゃないか」という話もあるのですが、問題はミサイルの数が全然足らないという点です。韓国政府が予算を絞っているからです。
『NEWSPIM(ニュースピム)』に興味深い指摘が出ています。同記事から以下に一部を引きます。
(前略)
◆KF-21に搭載される武装は空対空ミサイルのみ=それでもKF-21は2026年12月から3年間で40機が優先的に実戦配備されるが、肝心の戦闘機に搭載される空対空ミサイルの数量が大きく不足していることが知られている。事実上、2028年に40機のKF-21が戦力化されても、既存契約済みのミーティア100発で、最初の量産20機、追加量産20機、計40機の空対空武装を賄わなければならないのが現実である。
KF-21という非常に優れたプラットフォームがあるにもかかわらず、肝心のミサイルがなく基本的な武装能力すら備えられないという、あきれた状況が起きるということだ。
KF-21 1機には長距離・短距離合わせて空対空ミサイル6発が搭載できるが、軍当局が2028年までに長距離用100発、短距離用50発の購入契約しか結んでいないためである。
1機当たり3〜4発水準である。1回の出撃あたり4発搭載という基準にも達せず戦力化されることになる。
空軍は2023年に「戦時弾薬所要」基準に基づき最低900発余りのミサイルが必要だと合同参謀本部に報告した。
しかし合同参謀本部は「費用過多」などを理由にミサイル数量を6分の1に大幅削減したことが明らかになった。
空中戦は戦争初期に集中するため3日分だけ準備し、残りは国内技術で開発すればよいという趣旨であった。しかし合同参謀本部が提示した国内開発長距離空対空ミサイルは2038年になってようやく導入計画が組まれているとされる。
防衛事業庁関係者は「紆余曲折の末にKF-21初期量産物量が20機から40機に増えたが、この基準に合わせてミサイル武装予算も増えるべきだったが、そうはならなかった」とし、「政府予算が限られており、2026年の長距離空対空導入予算も1ウォンも配分されなかった」と語った。
(後略)⇒参照・引用元:『NEWSPIM』「[오동룡의 밀리터리 인사이드] 국산 KF-21 전투기, ‘반쪽짜리’ 전투기로 전락하나」
KF-21が「非常に優れたプラットフォーム」かどうかはともかく、「対空戦闘用のミサイルがないというのは呆れるしかない」については、まったくそのとおりです。
一応、空対空ミサイルは自国でも開発するので……となっているものの、KF-21は本当に実戦で使えるものになるでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)







