あの『斗山重工業』が、政府から受ける支援について提訴されるという事案が起こりました。
Money1でも数度取り上げていますが、『斗山重工業』は、東芝から盗まれたハードディスクが渡ったとされる企業(確証は得られていません)。ハードディスクの中には「原子力発電の制御システムの設計データ」が含まれていたといわれます。
韓国の「四月危機」でご多分に漏れず、この『斗山重工業』も傾いているわけですが、先に政府から「1兆ウォン」の支援が行われ、それでも足らないので「さらに1兆ウォン未満の支援」が追加される予定です。
なぜホイホイ支援が決まるかというと、『斗山重工業』の主力事業が「原子力発電所」「石炭火力発電所」という電力供給に関わるものだからです。そう簡単に飛ばすわけにはいかないのです。
ところが。
「政府からの支援」を取り消せ!という訴訟が起こされたことを、『朝鮮日報』が報じました。2020年04月20日の記事から以下に引用します。
(前略)
資金難のため、産業銀行・輸出入銀行から緊急資金1兆ウォンの支援を受けることになった『斗山重工業』に「外部からの攻撃」が相次いでいる。『社団法人 気候ソリューション』は20日、「14人の納税者が産業銀行と輸出入銀行の斗山重工業金融支援をめぐり、ソウル行政裁判所に取消訴訟を提起した」と述べた。
訴訟を提起したのは、『斗山重工業』支援について「国民の血税で不良企業に優遇措置を与えるものだ」と主張した。
(後略)⇒参照・引用元:『朝鮮日報』「市民団体、斗山重工業攻撃相次ぐ」(原文・韓国語/筆者(バカ)意訳)
※赤アンダーライン、強調文字は筆者による(以下同)
『社団法人 気候ソリューション』というのは一種の環境団体です。公式サイトを見ると、以下のように自身を説明しています。
社団法人気候ソリューション(Solutions for Our Climate、SFOC)は、より効果的な気候変動と大気汚染対応方針を策定するために、2016年に韓国で設立された非営利法人です。エネルギー・気候変動政策についての専門知識を持つ法律、経済、金融、環境の専門家などで構成されており、国内外の非営利団体との緊密な協力の下に活動しています。
⇒参照・引用元:『社団法人気候ソリューション』公式サイト「ABOUT US」
石炭火力発電所など環境に有害と思われる施設に資金が流れるのを止める活動などを行っており、今回の提訴も同団体の主旨に沿ったもののようです。
つまり、主眼は環境保護であって、「石炭火力発電所」を主力事業とする企業を支援することなどもってのほか、というわけです。
ただし、
(前略)
この度、訴訟提起に先立ち、9日、民弁・参与連帯・民主労総などは、ソウル中央地検の前で記者会見を開き、『斗山重工業』経営陣が合理的根拠なしに『斗山建設』を支援したとして背任容疑で告発した。
(後略)
という別件の告発もされており、『斗山重工業』の受難は続きそうです。インフラ屋さんも大変です。
(柏ケミカル@dcp)