「四月危機」に襲われている韓国では雇用情勢が急速に悪化しています。
上掲の記事でもご紹介しましたが、雇用統計のデータは極めて悪く、「一時休職者」という枠に「実質的な失業者」を入れてカウントするという統計のインチキもうまくいっていません。
この「一時求職者」が前月比で126万人も増え(364.4%増)、さすがにインチキがバレたせいです。
2020年04月19日、「第60周年 4・19革命記念式」に出席した文在寅大統領は、「核心は雇用を守ること」と述べました。
早急に雇用対策を打ち出す必要がありますが、2020年04月20日、『朝鮮日報』に「雇用対策のお金が少なすぎる!」と愚痴る記事が出ました。興味深い内容ですので以下に引用します。
(前略)
各種雇用関連指標を見ると、失業大乱は現実化している。3月の失業給付の受給者は、1年前より20%増の60万8,000人、失業給付支給額は40%増の8,982億ウォンに達する。
雇用保険制度の導入以来、失業給付の支給額と受給者の数が最高値だ。
(後略)
⇒参照・引用元:『朝鮮日報』「全国民に10兆ばらまき、雇用維持にはたった5,000億ウォン」(原文・韓国語/筆者(バカ)意訳)
※赤アンダーライン、強調文字は筆者による(以下同)
と現状を述べ、
(前略)
国際労働機関は、コロナ事態で第2次世界大戦後最悪の失業大乱が起こると予想した。各国政府は、雇用保障、失業者の保護に総力戦を展開している。
米国政府は、失業手当を週450ドルから1,050ドルに上げ、予算2,500億ドル(約300兆ウォン)を割り当てた。
人口がわが国の半分であるオーストラリアが100兆ウォン規模の雇用維持支援金対策を発表した。
ドイツは、雇用を維持するが、勤務時間を減らす企業の賃金の3分の2をサポートし、社会保険料も免除してくれる。
フランスは雇用維持、企業の3カ月間の賃金の最大84%を支援し、イギリスとイタリアも賃金の80%を支援する。
(後略)
と各国の状況を総括。その上で以下のように愚痴が出ています。
(前略)
韓国政府の失業対策は消極的で手ぬるい。1,000億ウォンだった雇用維持支援金を5,000億ウォンに増やしたことくらいがせいぜいだ。雇用維持支援金の申請が急増しており、この金額では心許ない。
休業手当の75%まで支給するという雇用維持支援金を90%に一時上方修正したが、それすら大企業は67%をサポートするにとどまる。
(後略)
同記事の嘆きも分からないではないですが、企業を救うのが先か、個人を救うのが先かという問題でもあり、雇用を作るのは企業ですので、政府としては「まず企業をトばさないのが先」と考えても無理はありません。
また、お金が無制限にあるなら「何もかも」が可能ですが、そうはいきません。韓国政府としては、エナリさんではないですが、「だって仕方がないじゃないですか」という心境でしょう。
(柏ケミカル@dcp)