IPO株の「売り逃げ・勝ち逃げ戦術」は儲かるか?

IPO株は長期投資には向かない」(どれが当たるか分かんないから)とは、ジェレミー・シーゲルなど多くの識者が指摘するところですが、短期売買、つまり「公募価格で入手して高騰したらさっさと売る」のを狙う投資家はたくさんいらっしゃいます。では、このような「売り逃げ・勝ち逃げ」の戦術はどのくらい有効なのでしょうか?

2017年にIPOをかけた企業は、01月27日に上場した『シャノン』(銘柄:3976)から、06月21日に上場した『エコモット』(銘柄:3987)までで38銘柄です。この38銘柄で「公募価格」と「初値」がどうなったのかを見てみましょう。

公募価格で買って初値で売っていたら、どれだけ利益が出たかと、その利益率を見てみましょう。

■2017年IPO銘柄を公募価格で買って、初値で売り逃げしていたら…

●上場日1月27日
『シャノン』(銘柄:3976)
公募価格:1,500円/初値:6,310円/利益:4,810円利益率:320.7%

●上場日2月7日
『森トラスト・ホテルリート投資法人』(銘柄:3478)
公募価格:143,000円/初値:145,000円/利益:2,000円利益率:1.4%

●上場日2月10日
『安江工務店』(銘柄:1439)
公募価格:1,250円/初値:1,300円/利益:50円利益率:4.0%

●上場日2月16日
『日宣』(銘柄:6543)
公募価格:1,600円/初値:3,000円/利益:1,400円利益率:87.5%

●上場日2月23日
『ユナイテッド&コレクティブ』(銘柄:3557)
公募価格:1,620円/初値:4,500円/利益:2,880円利益率:177.8%

●上場日2月23日
『レノバ』(銘柄:9519)
公募価格:750円/初値:1,125円/利益:375円利益率:50.0%

●上場日2月23日
『フュージョン』(銘柄:3977)
公募価格:1,140円/初値:2,872円/利益:1,732円利益率:151.9%

●上場日3月7日
『ロコンド』(銘柄:3558)
公募価格:1,850円/初値:2,625円/利益:775円利益率:41.9%

●上場日3月9日
『ピーバンドットコム』(銘柄:3559)
公募価格:1,650円/初値:3,530円/利益:1,880円利益率:113.9%

●上場日3月15日
『ファイズ』(銘柄:9325)
公募価格:1,250円/初値:4,010円/利益:2,760円利益率:220.8%

●上場日3月16日
『ほぼ日』(銘柄:3560)
公募価格:2,350円/初値:5,360円/利益:3,010円利益率:128.1%

●上場日3月16日
『うるる』(銘柄:3979)
公募価格:3,000円/初値:3,330円/利益:330円利益率:11.0%

●上場日3月17日
『ビーグリー』(銘柄:3981)
公募価格:1,880円/初値:1,881円/利益:1円利益率:0.1%

●上場日3月17日
『ジャパンエレベーターサービスホールディングス』(銘柄:6544)
公募価格:550円/初値:890円/利益:340円利益率:61.8%

●上場日3月21日
『力の源ホールディングス』(銘柄:3561)
公募価格:600円/初値:2,230円/利益:1,630円利益率:271.7%

●上場日3月21日
『インターネットインフィニティー』(銘柄:6545)
公募価格:1,320円/初値:5,040円/利益:3,720円利益率:281.8%

●上場日3月22日
『マクロミル』(銘柄:3978)
公募価格:1,950円/初値:1,867円/利益:-83円利益率:▲4.3%

●上場日3月22日
『エスキュービズム』(銘柄:3982)
公募価格:-円/初値:-円/利益:-円/利益率:-

※『エスキュービズム』は東証マザーズに上場予定だったのですが、2017年03月10日の役員会議で「確認すべき事項が発生し、その確認には時間を要する」とのことで、上場を延期しました。上場のメドについての発表はまだありません。

●上場日3月22日
『フルテック』(銘柄:6546)
公募価格:600円/初値:1,230円/利益:630円利益率:105.0%

●上場日3月23日
『グリーンズ』(銘柄:6547)
公募価格:1,400円/初値:1,521円/利益:121円利益率:8.6%

●上場日3月24日
『オロ』(銘柄:3983)
公募価格:2,070円/初値:4,750円/利益:2,680円利益率:129.5%

●上場日3月24日
『ソレイジア・ファーマ』(銘柄:4597)
公募価格:185円/初値:234円/利益:49円利益率:26.5%

●上場日3月27日
『ティーケーピー』(銘柄:3479)
公募価格:6,060円/初値:10,560円/利益:4,500円利益率:74.3%

●上場日3月28日
『No.1』(銘柄:3562)
公募価格:1,570円/初値:3,460円/利益:1,890円利益率:120.4%

●上場日3月28日
『ズーム』(銘柄:6694)
公募価格:1,520円/初値:2,278円/利益:758円利益率:49.9%

●上場日3月29日
『日本再生可能エネルギーインフラ投資法人』(銘柄:9283)
公募価格:93,000円/初値:89,200円/利益:-3,800円利益率:▲4.1%

●上場日3月29日
『オークネット』(銘柄:3964)
公募価格:1,100円/初値:1,300円/利益:200円利益率:18.2%

●上場日3月30日
『スシローグローバルホールディングス』(銘柄:3563)
公募価格:3,600円/初値:3,430円/利益:-170円利益率:▲4.7%

●上場日3月30日
『ユーザーローカル』(銘柄:3984)
公募価格:2,940円/初値:12,500円/利益:9,560円利益率:325.2%

●上場日3月31日
『ネットマーケティング』(銘柄:6175)
公募価格:1,140円/初値:1,552円/利益:412円利益率:36.1%

●上場日4月6日
『テモナ』(銘柄:3985)
公募価格:2,550円/初値:8,050円/利益:5,500円利益率:215.7%

●上場日4月10日
『ウェーブロックホールディングス』(銘柄:7940)
公募価格:750円/初値:721円/利益:-29円利益率:▲3.9%

●上場日4月12日
『LIXILビバ』(銘柄:3564)
公募価格:2,050円/初値:1,947円/利益:-103円利益率:▲5.0%

●上場日4月18日
『旅工房』(銘柄:6548)
公募価格:1,370円/初値:3,750円/利益:2,380円利益率:173.7%

●上場日4月25日
『アセンテック』(銘柄:3565)
公募価格:2,000円/初値:5,950円/利益:3,950円利益率:197.5%

●上場日6月15日
『ビーブレイクシステムズ』(銘柄:3986)
公募価格:1,670円/初値:7,700円/利益:6,030円利益率:361.1%

●上場日6月20日
『ディーエムソリューションズ』(銘柄:6549)
公募価格:2,500円/初値:7,100円/利益:4,600円利益率:184.0%

●上場日6月21日
『エコモット』(銘柄:3987)
公募価格:2,730円/初値:4,195円/利益:1,465円利益率:53.7%

※「利益率」は「利益(金額)」を公募価格で割ったものです。

■公募価格で入手できれば、初値で売っても儲かる!?

上記の38銘柄の結果を見てみますと、

38銘柄中、初値が公募価格を割り込んでマイナスになったのは

●『ウェーブロックホールディングス』(銘柄:7940)
●『日本再生可能エネルギーインフラ投資法人』(銘柄:9283)
●『マクロミル』(銘柄:3978)
●『スシローグローバルホールディングス』(銘柄:3563)
●『LIXILビバ』(銘柄:3564)

の5例だけです。

対して、利益率の大きかったTop5は以下のようになります。

●第1位
『ビーブレイクシステムズ』(銘柄:3986)
利益:6,030円/利益率:361.1%

●第2位
『ユーザーローカル』(銘柄:3984)
利益:9,560円/利益率:325.2%

●第3位
『シャノン』(銘柄:3976)
利益:4,810円/利益率:320.7%

●第4位
『インターネットインフィニティー』(銘柄:6545)
利益:3,720円/利益率:281.8%

●第5位
『力の源ホールディングス』(銘柄:3561)
利益:1,630円/利益率:271.7%

1位の『ビーブレイクシステムズ』は、公募価格が「1,670円」で初値が「7,700円」ですから一気に4.6倍の値段になったわけです。このような上位のIPO銘柄はおくとしても、2017年の「現在(2017年06月25日現在)までの結果」を見るとIPOを達成した37銘柄(『エスキュービズム』が予定だけで実際に上場できませんでしたから「38-1」です)のうち、32銘柄で、利益率に差はあるものの、利益は出ています。「公募価格で入手して初値で売る」戦術は、この程度の有効性があるのです。

(柏ケミカル@dcp)