株式への長期投資を行う際、薦められる投資方法に「ドルコスト平均法」があります。これは、例えば月額5万円とか金額を決め、ある期間ごと、例えば1カ月に1回などに、ある銘柄に続けて投資する手法のことです。
例えば、Aという銘柄に投資するとして、最初の投資時には「1株 = 1,000円」だったとします。すると50株買えますね(手数料・税・単元株は考えないものとします)。で、翌月になってその株が800円になったとします。すると62株買えます。翌々月にはその株が1,200円。すると41株の購入になります。こうやって、株を積みましていくのです。
「ドルコスト平均法」は長期投資については、リスクを減らすための良い方法といわれます。初心者向けの株式投資本にはよく紹介されていますし、例えば、以前の記事で紹介したバートン・マルキールの著作『ウォール街のランダムウォーカー』といった名著と呼ばれる本でも取り上げられています。
ただし、この手法は相場が上げ基調のときには購入できる株式が少なくなるというデメリットがあります。また、投資する回数が増えるのでその分手数料がかかる、という面もあります。また、手持ちの資金が少なく、分けてしか投資できないならともかく、まとまったお金があるなら何も分けて投資することはない、という指摘もあります。分けて投資することは機会損失につながる、というわけです。
『株式投資の未来 永続する会社が本当の利益をもたらす』著ジェレミー・シーゲル/瑞穂のりこ訳(原題:The Future for Investors)でジェレミー・シーゲルが指摘するとおり、
「ドルコスト平均法とは、市場に流通している銘柄を、定期的に買い続ける手法をいう。配当再投資とおなじく、株価が低迷する時期、つまり将来のリターン上昇が見込める時期に、購入株数が増えるのがミソだ。株価が上がり、将来のリターン悪化が見込まれる時期には、購入株数が減少する」
(上記同書P.173より引用)
という点に注意しなければなりません。
またジェレミーは続けてこうように述べています。
「ドルコスト平均法は、配当再投資の代わりになるだろうか? 答えはイエスだ。ただし、その会社が長期的に生き残ることが条件になる。会社が生き残っていなければ、株価が下がる局面でどれだけ大量に買い増ししても、紙くずの山が残るばかりだ」
(上記同書P.174より引用
と。「ドルコスト平均法」は決めた銘柄に続けて投資する方法ですから、少なくとも銘柄を選ぶときに、「この会社は長期的に生き残る」と思えなければいけないというわけです。もし、ドルコスト平均法による長期投資を考えているのあれば、ジェレミーの指摘する点をよく考えてから行うようにしましょう。
(高橋モータース@dcp)