日本でもアメリカでも、外国株に投資する人がいらっしゃいます。外国株というと、例えば、ベトナム株に投資すれば急成長が期待できる、これから急成長する国はどんなところだろうか? といったスジで語られることが多いのですが……。
■発展途上国のGDP成長と長期利利回りには負の相関がある!
賢い投資家が外国株に投資するのは、その急成長に期待してのことではないのです。あくまでも「リスク分散」のためです。というのは、成長著しいとされる発展途上国の株式市場に投資することでその急成長に見合うだけの利回りが得られるわけではないからです。
国に経済成長はしばしばGDPの増大によって語られますが、発展途上国の実質GDPの成長率と株式市場の長期利回りには負の相関があることが知られています。普通なら、GDPの成長率が大きな国なら、株式の利回りも大きくなるはず、と考えがちですが、事実は全く逆なのです。
なぜこんなことが起こるのでしょうか?
それは、経済成長が達成されると「利益」「配当」の金額は大きくなりますが、それが必ず1株当たりの利益、1株当たりの配当を大きくしてくれるわけではないからです。利回りが良くなるためには「効率」が必要なのです。つまり、コストあたりの利益金額です。
しかしながら、発展途上国の株式、その株式を発行した企業は往々にして利益を上げるために新たな資金を必要とします。つまり、設備投資や雇用など、資本を大きく投入しないと利益を上げられないわけです。そのためのお金はどこから調達するのか?
・負債(金融機関から借りる/債権を発行する)
・新株の発行
の2つの方法しかありませんが、この2つとも効率を阻害します。言い方を変えれば、1株当たりの利益を縮小させます。つまり、利回りが悪くなるいというわけです。長期投資を薦めるジェレミー・シーゲルは「中国は、過去20年で最も急速に成長したにもかかわらず、同国への投資利回りは何年にもわたり最悪だった」と述べています。
ともあれ、経済の急成長による高い利回りを期待して途上国の株式に投資するのは考え違いということです。そうではなく、外国株式に投資するのはリスク分散のため、と考えるのが至当なのです。賢者にならうのであれば。
(柏ケミケル@dcp)