国が「財政危機」に陥った、といわれる場合には具体的に何が起こっているのでしょうか?
借金を重ね過ぎるのが発端で……
まず財政危機は、赤字・借金を積み上げることで起こります。財政赤字がずっと続き、赤字国債を発行して凌いでいるなんて国は危ないのです。
借金の規模が大きくなり、その国のGDPと比較して「返済できないのではないか」と目されるようになると、長期金利が上昇します。この長期金利は、その国が発行している長期国債に付く金利のことです。
なぜ上昇するかというと、「借金を返せないかもしれない」(国債に付くはずの利子を支払えないかも/元本を返済できないかも)という恐れが投資家の間に広がり、その国の国債に人気がなくなるからです。
買おうという人が引くような国債を買ってもらうには「利率を上げる」しかありません。そのため「大丈夫か?」と思われた国の長期金利はもれなく上昇します。
長期金利の上昇は利払いを上昇させる
この長期金利の上昇は国の支出を増やすことになります。
というのは、ほとんどの国では国債の満期が来ても、その金額を償還しておしまいとはいかないのです。お金を償還するために新たな国債を発行し、利払いだけでガラをかわすという自転車操業を行っています。格好よく「ロールオーバー」なんて言ってもいいですけれども。
ところが、長期金利が上昇するとその分国債の利払いが増えます。買ってもらうために利率を上げたので当然ですね。つまり、ただでさえ多くの借金を抱えていて大変なのに、利子を支払うための負担が増大し、もっと苦しくなっていくのです。
せっかくお金を借りても利払いのためにそのほとんどが消える――というクレジットカードをたくさん持っている多重債務者のような状態に陥るわけで、これが進行すると、国債の発行ができなくなり(発行する国債の信用がなくなり誰も買ってくれない)ついには利払いもできずにドボン!です。
ですので、財政危機とは「借金を重ねた結果、長期金利が上昇し、破綻(デフォルト)が懸念されている状態」のことです。
(柏ケミカル@dcp)