「国債を購入しようかな」なんて考えている人がいらっしゃるかもしれませんね。うちの国の日本国債はともかく、いやともかくとか言っていると怒られるかもしれませんが、アメリカ国債は利率が上昇していてうらやましい限りです。アメリカ国債の場合は特に「リスクフリー」な安定資産とされていますので、高い利率が保証されたアメリカ国債を大量に保有できるならありがたい話ですね。
しかし、国債というものは買って償還時期にいくら利益が出るのが計算がしにくいものなのです。というか、「表面上の利率」と「利回り」を分けて考えないといけないものなのです。
例えば、利子が1年に3%付く美味しい5年ものの国債があったとします。分かりやすくするため額面が100万円としましょう。償還日は5年後ですが、毎年3%、つまり「3万円」ずつ利子分のお金を支払ってもらえるとしておきます。
利益がどうなるか計算してみましょう。
●額面100万円の国債を100万円で購入
投資金額:100万円
1年目:3万円の入金
2年目:3万円の入金
3年目:3万円の入金
4年目:3万円の入金
5年目:3万円 + 100万円の入金
償還日には購入代金の100万円と3万円が入金されます。
この場合、
●5年間の利子収入:3万円 × 5年 = 15万円
●償還差益:額面金額と購入金額(投資金額)が同じなので差益は0円
利益小計:15万円
この場合は1年にならすと、
年間収益3万円 ÷ 投資金額100万円 = 3%
ですから(1年間の)利回りは「3%」。この国債がうたっている「表面利率」どおりになります。
ところが、国債というものはいくらで購入できるか、つまり投資金額が変動するのです。人気のある国債は額面よりも高く取り引きされますし、不人気の国債は割り引いて取り引きされます。結果「利回りが何%」になるかは、その国債をいくらで購入したかに左右されてしまうのです。
例えば、上記と同じ美味しい国債を幸運にも90万円で購入できたとしましょう。
●額面100万円の国債を90万円で購入
投資金額:90万円
1年目:3万円の入金
2年目:3万円の入金
3年目:3万円の入金
4年目:3万円の入金
5年目:3万円 + 100万円の入金
こうなると、
●5年間の利子収入:3万円 × 5年 = 15万円
●償還差益:額面金額 – 購入金額(投資金額) = 10万円
利益小計:25万円
この場合は1年にならすと、
年間収益5万円(25万円 ÷5年です) ÷ 投資金額90万円 = 5.55%
と「表面利率」よりもずいぶんお得ということになるのです。
もちろん額面金額よりも割高に国債を購入することもあるわけですから、その場合は表面利率よりも利回りが悪くなることになります。
※本来であれば利回りは税金の計算などの費用を考慮する必要があります。
話を分かりやすくするためにずいぶん簡単にしましたが、国債を購入するときには「表面利率」と実際の「利回り」を分けて考えなければならないのは、このような理由によります。もし国債の購入を考えているのであれば基礎知識として知っておかれると良いでしょう。
(高橋モータース@dcp)