経済ニュースで「ロールオーバー(roll over)」という言葉が登場することがあります。このロールオーバーは英語の辞書を引くと「横転する」(動詞+副詞)「転覆」(名詞)といった意味で載っていますが、経済の分野で使われるときは主に、「切り替え」「借り換え」という意味で使われます。
先物取引、オプション取引で、自分が持っているポジションを最終取引日期限より先にいったん決済してしまい、期限のより先なポジションを再度持ち直します。これによって投資家は期限を延ばしてポジションを持ち続けることができます。これがロールオーバーです。
また、ロールオーバーは特に短期借入金についてもよく使われる言葉です。一般に短期借入金は「借入日から1年以内に返済期限が設定された借金」のことを指します。この短期借入金の返済期日より先に同額を借り入れ、新しい借入金によって先の借入金を返済してしまえばどうなるでしょうか? 事実上、借金返済の繰り延べを行うことが可能です。これも典型的なロールオーバーです。
ロールオーバーは、先物取引、オプション取引、短期借入金だけではなく、CFD取引、FX取引でもあります。例えば、皆さんもよくご存じのFX(外国為替取引)では自動ロールオーバーという仕組みが用意されており、本来なら2営業日後に決済しなければいけないところを、決済して買い直しという作業を業者が代わりにやってくれているため、期日の際限なくポジションを持ち続けることが可能なのです。
企業経営に携わる人はよく知っているロールオーバー
企業を運営している方はご存じかもしれませんが、例えば短期借入金を返そうとすると、銀行の担当者から「いや、まだ借りておいてくださいよ」なんて言われることがあります。
これは銀行からすると低金利の昨今、借入金をさっさと返されると金利収入も低く、それで契約がおしまいになってしまうので困るわけです(どんな商売だよ!)。こういうときに提案されるのは「約定の書き換えと約束手形の交換」です。
これが行われると、本来なら短期借入金の返済でなくなるはずのキャッシュ(現金)が手元に残るということになります。これもありがちなロールオーバーです。
(柏ケミカル@dcp)