2020年06月01日、韓国メディアは「カタールからLNG(液化天然ガス)運搬船100隻を受注!」と一斉に報じました。
同日、カタールの国営エネルギー会社『カタール・ペトロリアム』(「QP」と略します)が韓国企業3社と契約を結んだからです。
一気に100隻とは剛毅ですが、実は06月01日に締結された契約というのは「LNG運搬船を100隻発注するよ!」ではなく、その前段階のものです。
実際には、
韓国の3つの主要造船所「大宇造船海洋」「現代重工業」「サムスン重工業」に、「2027年末まで、『QP』のLNGタンカーを建造する能力を確保しておく」
という内容です(「スロット契約」と呼ばれます)。
『カタールガス』の2020年06月07日付けのプレスリリースでは、06月01日に締結した協定について、アルカービ大臣は以下のように述べています。
(前略)
アルカービ大臣(Saad bin Sheridah Al Kaabi:石油・エネルギー相)は、次のように付け加えました。「これらの重要な協定を締結することにより、『QP』は、LNGタンカーの将来の艦隊の要件を満たすために、2027年末までにLNGタンカーを建造するための世界的な能力の約60%を確保しました」
(後略)⇒参照・引用元:『カタールガス』公式サイト「カタール石油、LNGタンカー業界史上最大の契約を締結し、100隻以上の新造船を建造」(原文・アラビア語/筆者(バカ)意訳)
大臣も発言しているとおり、「LNG運搬船を建造する枠を開けといてね」という協定が締結されたというわけです。
「建造ドックの予約」というところではないでしょうか。
ただ、ここまできて「やっぱり他のところに発注する」というのも信義則にもとるでしょうから、韓国が「やった100隻受注した!」と喜ぶのも当然。
ただ、韓国メディア『韓国経済』に「韓国造船、『カタール100隻受注』に歓呼したが…その前に『枯死』危機」という記事が出ており、以下のように書いてあります。
今年上半期の世界の船舶発注量が過去最低となった。1997年の通貨危機、2008年のグローバル金融危機当時よりも少ない。
造船業界では「カタール液化天然ガス(LNG)船100隻の発注がある前に枯死する」という声が出ている。
(後略)
⇒参照・引用元:『中央日報(日本語版)』「韓国造船、『カタール100隻受注』に歓呼したが…その前に『枯死』危機」
(元記事は『韓国経済』)
ですので、カタールからの100隻発注はまだ確定ではありません。また、韓国の造船業界はカタールから発注がある前に「なくなりそう」な危機的状況です。大丈夫でしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)