アメリカ合衆国と中国との対立が激化していますが、これは中国共産党政府が完全に左前になるまで続きます。
最強の一手は「ドル決済網」からの締め出し
現在、合衆国はさまざまな手段、例えば国内の総領事館の封鎖、南シナ海での軍事演習などで中国への圧迫を強めていますが、まだ決定的な一石を打っていません。
「ドル」を持っていることを利用した金融での一手です。
何度もご紹介していますが、中国の通貨「人民元」は事実上ドルにペッグしています。また、人民元は流入するドルの信認をもって発行されるというヘンな通貨です。さらに、外為市場では価値が暴落しないようにドル売り人民元の為替操作を行っています。
つまり、金融面において中国は「ドル」に全く依存して成立しており、ここを衝くことこそ「中国を倒壊させるための最善にして最強の手」なのです。
中国自身そのことを深く理解しているため、IMF(International Monetary Fundの略:国際通貨基金)の通貨バスケットに人民元を採用させ、人民元を世界的に使ってもらい影響力を強める戦略を進めてきました。しかし、国際間の決済において人民元の取引量はいまだ小さく、信認がないことは明らかです。
BIS(Bank for International Settlementsの略:国際決済銀行)が発表した2019年の世界為替取引量データによれば、人民元はわずか4.3%に過ぎません。
いまだに人民元がドルに取ってかわるかも、などという人がいますが、そんなことは起こりません。「ドルがないのは首もないのと同じ」の現在なら、ドル供給を断つことで中国を倒すことができます。
具体的には中国(香港含む)の銀行をドル決済網から締め出すのです。合衆国のFRB(Federal Reserve Boardの略:連邦準備制度理事会)とウォール街にはそれが可能です。
これが行われると、中国の金融機関はドルの調達ができなくなり、海外との貿易決済も不可になります。当然、人民元も暴落。中国の金融は機能不全を起こし、中国内は阿鼻叫喚の地獄絵図となるでしょう。
実はもう「香港自治法」には盛り込まれている!
実は、このような手はもう打てるようになっているのです。
合衆国のトランプ大統領が2020年07月14日に署名した「香港自治法」。これには「経済制裁」の方法について
外貨取引の禁止
貿易決済の禁止
がすでに入っています。
もちろんこれは、「香港を圧迫する者・組織」に協力する金融機関への経済制裁※1ですが、合衆国が中国の急所を心得ていることは明らか。合衆国に金融制裁の手を打たれたら中国は瀕死の状態になるでしょう。
※1
ただし、この制裁措置によって合衆国が被害を受けないよう、1年間の猶予が与えられることになっています。
(吉田ハンチング@dcp)