韓国の国策銀行『産業銀行』が「拙速のそしりは免れず」などと言われながらも急進行している『アシアナ航空』の売却問題。
お金の流れなどの絵図は描けているようで、『韓進KAL』の懐事情などの不安はあるものの、とにかく平押しでいく一手です。ただし、一抹の不安が残る部分があります。
「公正取引委員会」の判断です。
先に少しだけ触れましたが、企業の合併・買収など企業結合については、公正取引委員会の許可を得なければなりません(企業規模など条件によります)。
その合併などによって市場シェアのほとんどを占める企業ができたりすると、価格が不当に値上げされるなど、消費者が不利益を被ることがあるからです。
で、今回の『大韓航空』と『アシアナ航空』のケースですが、普通にいくと独占禁止法に触れて「買収は駄目!」となりそうなのです。
・3つ以下の事業者のシェアが75%以上
というケースでは通常アウトです。
韓国の航空業界は、そもそも『大韓航空』が韓国航空業界の第1位、第2位が『アシアナ航空』、あとはLCC(格安航空会社)。つまり、大手もなにも2社しかないのに、それが合併に動き出してるわけです。普通に考えれば「寡占」です。
ですから通常なら公正取引委員会がOKというわけがないのです。
しかし、ここで止めるわけにはいきません。そこで浮上するのが、『済州(チェジュ)航空』が『イースター航空』を買収すると動いたときに「公取委」から「OK」をもらった手です。
その会社を「再生不可能」と認定するのです。「どうやっても再生できない企業」なのでシェアとか言っても……と承認してもらうのです。
恐らく『産業銀行』はこの線で押します。すでに『イースター航空』で例があるので「いける」と踏んでいるはずです。
また、とにかく韓国は法治国家ではなく情に流される国ですので、公取委が韓国政府の意向を汲んで自分から「買収OK!」と言い出す可能性も否定できません。
そうなったらなったでまた面白いのですが……。
(吉田ハンチング@dcp)