Money1ではしつこくご紹介しているとおり、2020年から外国人投資家は韓国株式市場で売り越しを続けています。「売り越し」は、「買う金額」よりも「売る金額」の方が多いことを指します。
買う金額 – 売り金額
でマイナスになったら売り越しで、その分の資金が株式市場から流出したことになります。
韓国取引所のデータによれば、2021年08月20日までの売り越し金額は、すでに2020年通年の売り越し金額を超えました。
外国人投資家の売り越し金額
2020年通年:24兆7,128億ウォン(約2兆2,982億円)
2021年08月20日まで:30兆7,260億ウォン(約2兆8,575億円)⇒データ引用元:『韓国取引所』公式サイト
韓国メディアでは、株価が上昇しないのを外国人投資家がセルコリア(韓国売り)を続けるせいにしたりします。
しかし、2020年のコロナ禍の中、株価が急騰した際にも外国人投資家は韓国株を売り続けました。以下のKOSPI(韓国総合株価指数)のチャートをご覧ください(チャートは『Investing.com』より引用:月足)。
2020年はコロナ禍の暴落からの急回復し、上掲のとおりKOSPIは史上最高値をつけました。この上昇の中でも外国人投資家は売り越しました。
2020年01月から現在の2021年08月まで、外国人投資家が買い越したのは赤い楕円で囲った月、すなわち2020年04月・11月、2021年04月のわずか3カ月しかないのです。
外国人がセルコリアを続ける理由が分からない、と吐露
この外国人投資家によるセルコリアについて「説明がつかない」とする記事が、韓国メディア『毎日経済』に出ています。
以下に記事の一部を引用します。
(前略)
外国人の「セル・コリア」の背景に多く挙げられるのは、コロナ19の4次の流行などによるウォン安、合衆国連邦準備制度(Fed・FRB)の年内テーパリング(資産買い入れ縮小)開始の懸念などである。しかし、これらの要因だけでは昨年以降、粘り強く続く外国人の売り越し攻勢を説明するのは難しいという見方も金融投資業界では提起されている。
(中略)
チョン・ミョンジ『サムスン証券』研究員は「昨年下半期から今年上半期まで、韓国の証券市場は、世界的に見て最も良い方に属した」とし「それでも外国人が売り続ける理由を説明するのは正直難しい」と述べた。
(後略)
というわけで、外国人投資家がセルコリアを続ける理由を説明するのは難しいようです。
あくまでも筆者の私見ですが、根底には韓国企業、市場、政府に対するファンダメンタルな疑念があるためではないでしょうか。
すなわち、企業の活動を締め付ける法律ばかり可決する政府与党。企業のトップが逮捕・拘禁される可能性がある政府の方針と企業環境。「明日から空売り禁止」などと言い出し、それを実行する金融当局。
全部事実です。上げればキリがありません。
端的にいえば、外国人投資家はファンダメンタルの部分で韓国市場を信用していないのではないでしょうか。
(柏ケミカル@dcp)