韓国の次期大統領選挙に向かって、与野党共に候補の一本化作業が始まっています。
先にご紹介したとおり、与党『共に民主党』は韓国の各地方を回る巡回選挙を行っています。一方の最大野党『国民の力』はというと、候補一本化のための予備選のルール作りでもめていました(今は小康状態)。
「逆選択」とは?
焦点になったのは「逆選択」(逆投票)をどうするか、です。
日本の選挙ではあまり聞かない言葉ですが、どういうことかというと、非常に有力な候補者がいて、その候補者を落としたい場合、本選では絶対に勝てないと思われる他の議員に票を集めるのです。
そうすると、党の代表候補者になれず、本選に出られませんから次期大統領には絶対になりません。
特に焦点になっているのは尹錫悦(ユン・ソクヨル)前検察総長です。尹さんは政党の力が必要であるため、最大野党『国民の力』に入党しましたが、国民には一二を争う人気であるにもかかわらず、ここのところ党内の他の候補の支持率が妙に上がったりしています。
これも逆選択の効果と見られます。つまり、尹さんをどうしても落としたい人が泡沫とみられる候補にわざと票を集める動きをするわけです。
また、『国民の力』の候補者を決める予備選では党員だけではなく、国民世論の声も反映させるとなればどうでしょうか。政府与党の支持者が、尹さんが統一候補になるとマズイと考えれば、逆選択で『国民の力』の他の候補に大量に票を投じることが予測されます。
もしこの票が非常に大量にあれば、尹さんの統一候補当選を阻むことも可能になります。
というわけで、『国民の力』では投票ルールをどうするかでもめていたのですが、とりあえずカットオフの予備選では「党員世論調査20%+国民世論調査80%」、統一候補を選ぶ本選挙を「党員世論調査50%+国民世論調査50%」で行うこととし、逆選択防止の条項は盛り込まないことになりました。
ただし、まだ「逆選択」についての議論はくすぶっていますし、政府与党『共に民主党』が「国民世論調査」に介入して逆選択に票を投じる可能性は残っています。
なにせ、韓国の大統領選挙は「誰が監獄に行かないで済むか」というゲームですので、生き残るためならなんでもするでしょう。特に保守に政権を取られたくない政府与党は。
(吉田ハンチング@dcp)