2021年09月16日、『韓国銀行』から「2020年の公共部門アカウント(暫定)」という資料が公開されました。これは注目される韓国政府(中央政府、地方政府、社会保障基金)の財政がどのような状況になっているのかを示すものです。
中央政府は巨額赤字に転落
以下がその資料の一部で、中央政府、地方政府、社会保障基金の収支です。2020年まで出ています。
韓国政府の財政収支(2020年)
●中央政府
収入:355.2兆ウォン
支出:428.0兆ウォン
収支(収入 – 支出):-72.8兆ウォン●地方政府
収入:322.6兆ウォン
支出:332.5兆ウォン
収支(収入 – 支出):-9.9兆ウォン●社会保障基金
収入:199.3兆ウォン
支出:161.0兆ウォン
収支(収入 – 支出):38.3兆ウォン⇒データ引用元:『韓国銀行』公式サイト「2020年の公共部門アカウント(暫定)」
ご覧のとおり、中央政府は「-72.8兆ウォン」(約-6.8兆円)で巨額の赤字となっています。
ちなみに、この72.8兆ウォンは統計を取り始めてから最大額。これほど赤字が膨らんだのは、コロナ禍の中、流動性を確保するため災害支援金などのばらまきを行ったためです。
上掲の中央政府、地方政府、社会保障基金の収支を合わせて「一般政府」の収支になります。
一般政府収支(2020年)
収入:681.9兆ウォン
支出:726.2兆ウォン
収支(収入 – 支出):-44.4兆ウォン※データ引用元は同上
上掲のとおり全体で見ても「-44.4兆ウォン」(約4.1兆円)と赤字です。
地方政府も赤字に転落!
地方政府も、
地方政府収支
2015年:+ 7.6兆ウォン
2016年:+ 6.9兆ウォン
2017年:+ 7.0兆ウォン
2018年:+12.4兆ウォン
2019年:+16.9兆ウォン
2020年:– 9.9兆ウォン※データ引用元は同上
2019年までは黒字で回っていたものが、2020年にはいきなり「-9.9兆ウォン」(約0.9兆円)の赤字に転落しました。
社会保障基金が黒字なことに驚かれるかもしれませんが、これは将来にわたって積み立てておかないといけないもので単年ずつ赤黒で見るとこうなります。
また、ここに「とりあえずお金があるから」と、担当機関が勝手に事業を始めるのが大問題で、雇用保険基金が事実上枯渇したのも直接的な原因はまさにそれです。
で、今になって慌てて「事業を縮小・再編する」などといっているわけです。
文政権の手腕が現れた結果である
さらに注目していただきたいのは、中央政府の収支の推移です。
中央政府収支
2015年:-29.6兆ウォン
2016年:-11.0兆ウォン
2017年:0.0兆ウォン
2018年:+7.3兆ウォン
2019年:-36.9兆ウォン
2020年:-72.8兆ウォン※データ引用元は同上
文在寅政権は2017年に発足しましたが、コロナ前の2019年にすでに前政権を上回る「-36.9兆ウォン」の赤字に転落し、2020年にさらにその倍ほどの「-72.8兆ウォン」の大赤字になっています。
コロナ対策があったとはいえ、中央政府の赤字を膨らませる文政権の手腕がいかにスゴいものであるのかを見せてくれる結果です。
(吉田ハンチング@dcp)