2021年09月24日、『韓国銀行』から「2021年上半期の知的財産権の貿易収支(暫定)」のデータが公表されました。これは、「特許」、「楽曲などの著作権」など「知的財産権」の輸出、輸入、その収支を示したデータです。
外国で「韓国の知的財産権」がたくさん利用されれば(輸出できれば)、その分、売上は大きくなります。輸入はその逆で、「外国の知的財産権」をたくさん利用すれば(輸入すれば)、その分外国に支払う金額は大きくなります。
収支は、輸出から輸入を引いた金額で、収支がプラス(黒字)になれば輸入より輸出が多く、つまり「韓国の知的財産権」が外国で利用される金額の方が「外国の知的財産権」を利用する金額より多かったことになります。
要するに、外国でたくさん利用される特許を持っていたり、海外版が制作されるコンテンツを多く持っていたりすると、その国の売上は多くなる、というわけです。
以下が韓国銀行が公表したデータです(11ページ中の第2ページ)。
2021年上半期「知的財産権の貿易収支」
輸出:87.5億ドル
輸入:79.0億ドル
収支(輸出 – 輸入):8.5億ドル
このように2021年上半期は「知的財産権の貿易収支」は「8.5億ドル」(約938.1億円)の黒字になったとしています。
この『韓国銀行』の集計では、以下のように2020年中は赤字だったこの「知的財産権の貿易収支」が直近四半期では黒転したことになります。
「知的財産権の貿易収支」推移
2019年上半期:-8.8億ドル(約-971.3億円)
2019年下半期:+3.5億ドル(約+386.3億円)
2020年上半期:-7.6億ドル(約-838.8億円)
2020年下半期:-11.1億ドル(約-1,225億円)
2021年上半期:+8.5億ドル(約938.1億円)※データ引用元は同上
黒字転換していますので、「韓国の知的財産権は海外で多くの売上を上げているんだなぁ」「K-Popのおかげかしら」となるかもしれませんが、ちょっと待った、なのです。
実は、同じ『韓国銀行』が公表している国際収支統計によれば、こうはなりません。
国際収支統計のサービス収支に経常される細目の中に「Balance of charges for the use of intellectual property」(「知的財産権等使用料収支」)という項目があって、その数字が今回の『韓国銀行』の公表数字と全く合わないのです。
以下をご覧ください。
2021年_韓国の「知的財産権等収支」
01月:-2.6億ドル
02月:-1.3億ドル
03月:-3.8億ドル
04月:-3.6億ドル
05月:+1.3億ドル
06月:-7.5億ドル
上半期計:-17.6億ドル⇒参照・引用元:『韓国銀行』公式サイト「経済統計システム」
かたや「+8.5億ドル」、もう一方は「-17.6億ドル」です。
なぜこのようなことになるのかというと、今回『韓国銀行』が公表した「知的財産権の貿易収支」は、国際収支統計の「知的財産権等使用料収支」に計上されるものから切り出したものだからです。
もちろん韓国の現状をまるっとストレートに表しているのは国際収支統計の方です。毎月英語版でも公表される国際収支統計は、外国に対する正式な報告書でもあります(そう見なされます)。
韓国は「知的財産権等使用料収支」は基本的に毎月赤字です。つまり、外国に知的財産権等の使用料を支払う方が多いのです。
日本から流出した果物など、日本には韓国からきちんと知的財産権の使用料を支払われていないものがあります。日本はこれらを細大漏らさず数え上げ、きちんと韓国に支払わせるべきでしょう。
その結果、韓国の赤字はさらに増えるでしょうが。
(吉田ハンチング@dcp)