合衆国がWTOに諦観を持つ理由 WTOは役に立たない


2019年02月04日、中国との通商協議をリードするUSTR(Office of the United States Trade Representativeの略:アメリカ合衆国通商代表部)から「中国の不公正な通商慣行を是正するために、WTOの規定を変更しようと努力するのは無駄なこと」という声明が出ました。

これはちょっと理解しにくい言い回しですが、ことは中国のWTO加盟、WTOのルールについての非難につながっています。

■中国のWTO加盟を許したのが「そもそもの失敗」

オバマ政権までの合衆国は、中国に対して融和的な政策をとっていました。中国がWTO(World Trade Organizationの略:世界貿易機関)に加盟したのは2001年のブッシュ政権下のことでしたが、この頃はまだ中国に対して合衆国も寛容だったのです。

しかし、2018年1月に提出されたUSTRのレポートでは「そもそも中国のWTOへの加盟を許可したのが失敗だった」と記載されました。

昨年のこのレポートが今回の声明に直結しています。ここにきて、技術を強奪する中国の商習慣が非難され、合衆国はこれを改めさせようと圧力をかけている最中です。WTOでも、この中国の商習慣を改めさせることができるよう「規定変更」を行いたいところですね。

しかし、WTOには「規定変更のためには加盟国すべてが同意しないといけない」というルールがあるのです。たとえ中国に厳しく当たる規定を策定したとしても、中国が反対するに決まっていますから、そのような努力はまったくの無駄というわけです。これが上記の発言、「努力するのは無駄なこと」の意味です。

発足以降、トランプ政権はWTOについては冷淡な態度を取ってきました。アメリカ・ファースト政策の邪魔になる機関であるためです。しかし、今回のような一種の「諦観」さえ感じられる声明が出るのは、「対中国」の戦いについても「WTOが役に立たない」ことが明らかだからなのです。

⇒参照・引用元:『United States Trade Representative』「2018 Report to CongressOn China’s WTO Compliance」February 2019
https://ustr.gov/sites/default/files/2018-USTR-Report-to-Congress-on-China%27s-WTO-Compliance.pdf

(柏ケミカル@dcp)

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