日本では一般にあまり知られていませんが、韓国独自の家賃支払いのシステムに「伝貰(チョンセ)」があります。
「チョンセ融資」とは?
これは、月々の家賃支払いが無料になる代わりに、敷金を大量に積むというシステムです。
その物件の約5~8割(率はいろいろです)を支払うことで家賃が無料になり、物件から退去すると最初に入れた敷金は全額返還されます。大屋さんはどこでもうけるかというと、最初に積まれた敷金を運用して利益を出すわけです。
この「チョンセ」は、例えば1,000万円の物件で5割だとすると「500万円」も用意しないといけません。そのような大金がない人に向けて、「チョンセ融資」というものがあります。
各金融機関でチョンセ融資が用意されていますが、これも韓国独自の一種の不動産ローンです。
急騰する「チョンセ融資」の金額
韓国では異常な速度で家計負債が増えていますが、実はこれにチョンセ融資が一役買っているのです。
というのは、チョンセの金額は不動産価格にペッグして上昇するからです。
例えば、物件価格が1,000万円から1,200万円に上昇すると、同じ5割でもチョンセの金額は500万円から600万円にアップします。
つまり、金融機関にチョンセ融資を受ける場合100万円多く借りないといけなくなります。
またチョンセ融資は、通常の住宅ローンと違って、賃貸物件で発生するので、引っ越しだー!なんて時にも借りないといけません。普通の住宅ローンなら「一生に一回の買い物である家」のために一度組めばそれでいいのですが、基本的にチョンセ融資の場合、一人の人が何度も借りる可能性があるのです。
で、ご案内のとおり、韓国では異常なほど住宅価格が上昇してきました。当然これに合わせてチョンセの金額も上昇し、チョンセ融資の金額も上昇、家計負債も膨らむというわけです。
チョンセ融資の金額が急増「88兆」まできた
若者の方が所得が低く、貯金も少ないですからチョンセ融資を利用することが多くなります。
金融監督院のデータによれば、2021年06月末時点で、チョンセ融資残高は148兆5,732億ウォン(約14兆2,630億円)に達しています。
このうち、20~30代の金額の伸びが顕著です。
2017年:29兆1,738億ウォン(約2兆8,007億円)
2020年:88兆234億ウォン(約8兆4,502億円)
増加額:58兆8,496億ウォン(約5兆6,496億円)
このように、2017年から融資残高は約3倍にも膨らんでいます。この若い世代の融資額は全体の60%にも達しているのです。
2017年は文在寅大統領が就任した年ですので、つまり文政権下でそれだけ借金が増えたことになります。不動産施策の失敗が若い世代の借金を増大させたともいえます。
また、さらに20代だけ見ると、
2020年:24兆3,886億ウォン(約2兆3,413億円)
と約4.6倍にも増えています。
うんざりするような数字ですが、総じて若い世代がチョンセ融資で借金を巨額に増やしたわけです。文在寅政権の成果はこのような点にも現れています。
(吉田ハンチング@dcp)