韓国の文在寅大統領は、国内では「脱原発」を強力に推進してきましたが、原発の輸出は推進しています。
この態度は韓国内でも「ダブルスタンダードだ」と批判されているのですが、韓国の原子力産業からすれば、国内では商売にならないので、海外で稼ぐ方向で動くしかありません。
例えば、あの『斗山重工業』も国内では文政権に痛めつけられましたので、海外で原発関連事業を受注しようと営業活動を活発に行っています。Money1でもご紹介してきたとおり、ウクライナ、ポーランドなどの「原子力発電所」建設計画に食指を動かしているのです。
先日、文大統領が欧州に出張しましたが、その際V4(ヴィシェグラード・グループ:ハンガリー・スロバキア、チェコ、ポーランド)のハンガリー大統領と会談を行いました。韓国政府はV4市場を狙っているのです。
ポーランドの原発建設の受注競争に参加!
ポーランドは、原発6基を擁する原子力発電所の建設を計画しています。
これはエネルギーインフラを自国でできるだけ確保しようという意図からのものです。ポーランドはロシアに石油とガスの90%を依存しており、このまま他国依存を続けるのは危ないと考えたわけです。
2021年11月05日、『韓国水力原子力』チョン・ジェフン社長は、産業通商資源部のムン・スンウク長官と共にポーランドのPiotr Naimskiエネルギー・インフラ特任大使を訪問し、原発建設の受注に向けて競争入札に参加する旨を表明しました(以下プレスリリースより)。
↑MOU(Memorandum of Understandingの略:基本合意書)を締結。PHOTO(C)『韓国水力原子力』
上掲のとおり、「MOU」を締結して正式な受注に向けて動いているのですが、本件について韓国メディア『ChosunBiz』に非常に興味深い記事が出ました。
「30%」安い価格を提示した
『ChosunBiz』の記事から一部を以下に引用します。
12日、現地メディアと原発業界によると、『韓国水力原子力』は最近、ポーランドのエネルギー当局に他の競合他社と比較して技術力、経済性、財源調達などあらゆる側面で競争力があるという意見を伝えた。
特に競合他社より最大30%まで安価に原発を建設できるという提案をポーランド政府に伝えたという。
(後略)
驚くべきことに、競合他社と比較して「最大3割安」の価格を提示したと報じています。「また始まった」です。韓国には、受注するために後先考えずに安価を提示するという悪癖があります。
韓国初の原発輸出となったUAEのバラカ原子力発電所のときも、フランス、日米連合よりもはるかに安価を提示して受注しましたが、後になって「有事の際には韓国軍が支援する」という密約まで結んでいたことが発覚しました。
今回韓国が提示したのは「APR-1400原子炉」を6基(1基当たり8.4GWを発電)。いわゆる「韓国型原子炉」と呼ぶもので、UAEに建造したのと同じタイプです。
また、韓国は「建造コストの49%を調達したい」という希望に応えて「『輸出入銀行』や『貿易保険公社』などの輸出信用機関との協力を通じて具体的な資金調達案を出す」とのこと。つまり、ポーランドへの融資という形になるにせよ、とりあえずコストの49%は韓国が立て替えるというわけです。
さて、韓国がまた格安で原発建設を受注しようとしていますが、結果がどうなるものかにご注目ください。
(吉田ハンチング@dcp)