外国からリターンを得ようとして国外への投資が増えてるという話です。いいことではありますが、一方で韓国内からお金が出ていってることを意味します。
2021年11月29日、『韓国銀行』が第3四半期時点での「『韓国の機関投資家』の外貨証券への投資残高」のデータを公表しました。
平たくいえば、韓国の資産運用会社・保険会社・外国為替銀行・証券会社が外国の証券類(株式、債権など)にいくら投資しているのか、その残高のデータです。
以下は、プレスリリースにある「機関投資家の種類別」にその残高を見たものです。
↑「機関投資家別海外外貨証券投資残高」の表組(単位:億ドル)2021年第3四半期
残高合計:3,855.9億ドル
(約43兆7,028億円)
2019年第2四半期からここまでの推移をグラフにすると以下のようになります。
2020年第1四半期には「3,172.8億ドル」(約35兆9,605億円)だったのですが、これが直近「3,855.9ドル」(約43兆7,028億円)に膨らんでいます。
683.1億ドル(約7兆7,423億円)も増えました。つまり、それだけの資金が外国へ出て行ったことになります。
『韓国銀行』のデータでは、外貨建て証券類の種類を「株式」「債券」「Korean Paper(コリアン・ペ-パー)※」の3種類に分けていますが、その金額推移をグラフ化すると以下のようになります。
ご注目いただきたいのは、「株式」への投資額(青の線)が非常に伸びている点です。「債券」への投資が大きかったのですが、直近では株式は債券に匹敵する金額となっています。
2020年第1四半期と2021年第3四半期の投資残高を、株式と債券で比較すると以下のようになります。
2020年1Q | 2021年3Q | 増減 | |
株式 | 1,024.7億ドル | 1,680.8億ドル | +656.1億ドル |
債券 | 1,718.7億ドル | 1,805.7億ドル | +87.0億ドル |
株式への投資金額は「656.1億ドル」(約7兆4,362億円)も増えました。上掲グラフの傾きを見ていただけば分かるとおり、2020年に入ってから、韓国の機関投資家は外国の株式に重点的に資金を投じたのです。
いい判断だといえるでしょう。韓国市場よりも合衆国市場に資金を投じた方が確実ですので。
しかし、個人投資家は韓国内の市場にもっと資金を投じろと言うかもしれません。「外国人投資家や機関投資家が売るからKOSPIが上がらない」と文句を言う人たちですので。
※「Korean Paper」というのは「韓国の居住者が外国で発行する外貨建ての証券類」という定義です。つまり、韓国政府が外貨建てで発行する債券、企業が外貨建てで発行する社債などです。
(吉田ハンチング@dcp)