2021年12月24日、韓国の青瓦台・大統領府は朴槿恵(パク・クネ)前大統領の恩赦を公表しました。
朴大統領は、国政に旧知の女性を介入させた罪、収賄罪などを糾弾され、大統領の座から引きずり下ろされました。懲役22年の罪が確定。2017年に収監されました。現在は体調不良で入院しています。また、精神的にも不安定な状態といわれています。
今回の恩赦によって2021年12月31日、4年9カ月ぶりに釈放されることになります。
以下は、「朴ギョン美(パク・ギョンミ)報道官ブリーフィング」という青瓦台・大統領府のプレスリリースです。文在寅大統領の言葉を次のように伝えています。
文在寅(ムン・ジェイン)大統領は朴槿恵前大統領、ハン・ミョンスク前首相の特別赦免・特別復権について次のように述べました。
私たちは前の時代の痛みを乗り越え、新しい時代に進むべきです。
今、過去に埋没してお互いに戦うよりは、未来に向かって大胆に力を合わせなければならない時です。特に私たちの前に迫った多くの難題を考えると、何より国民統合と謙虚な包容が切実です。
朴前大統領の場合、5年近く服役したため健康状態が多く悪くなったことも考慮しました。
今回の赦免が思考の差や賛否を超えて統合と和合、新時代開幕のきっかけになることを願っています赦免に反対する方々の広い理解と度量をお願いいたします。
「私たちの前に迫った多くの難題」というのは「自分の身に」ではないのか、という気がしないでもありません。今回の特別赦免は大統領選挙をにらんでの政治的な判断と見られます。
つまり、保守派の取り込みです。
体調が極めて悪いとされる朴さんにもし何かあれば、退任後の自身の評判にかかわると考えたかもしれません。野党『国民の力』の大統領候補の尹錫悦(ユン・ソギョル)さんは大刀医療になったら「朴さんの赦免を行う」と語っていましたので、その点も考慮したと考えられます。
「赦免に反対する方々の広い理解うんぬん」というのは、自身の支持基盤でもある「左派」への説得の言葉です。
また、今回の赦免に関しては韓国政界からは「文大統領の公約を破ったもの」という批判が上がっています。
というのは、文大統領は大統領選挙の際に「賄賂」「背任」「横領」などの五大腐敗犯罪を犯した者は特別赦免から除かれるべき――と主張していたからです(大統領として赦免権を行使しないとした)。つまり、文大統領は自分の公約を破っても今回の特別赦免を実施したかったことになるのです。
文大統領らしいといえば、それまでかもしれませんが、しかし国のTopが自身の公約を守らないというのはいかがなものでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)