韓国は輸出一本で食べている国で、中国はその最大の相手国です。
2003年以来、国・地域別で見た場合、「韓国の輸出に占める中国の割合」は19年連続でTopです。しかし、ここにきて変調が現れています。
まず過去のデータを見てください。
2000年:10.7%
2005年:20.6%
2005年には、2000年のほぼ2倍まで対中国輸出は拡大しました。中国は2001年にWTOに加盟しましたが、それ以降韓国の輸出品は怒涛のように中国に流れ込みました。
その後もどんどん対中国輸出は増加し、
2018年:26.8%
となります。この26.8%が「対中国輸出の全輸出に占める割合」の現時点での最大値です。
2021年には、輸出額「6,444億ドル」のうち「1,630億ドル」が対中国でした。2021年は「25.3%」となります。
変調を来しているというのは、2022年は01~05月の実績を見る限り、さらに前年より低くなっているのです。2022年01~05月は「23.4%」です。
まだ1年が終わり、締まったわけではありませんが、この「23.4%」は、2009年の「23.9%」以来の水準です。
コロナ禍、中国のロックダウンやサプライチェーンの混乱、コンテナがこない、コンテナ運送費の急騰など、さまざまな要因が考えられますが、中国が韓国の製造技術に追いついてきたという点は見逃せません。
かつて韓国の輸出主力品の一つであったスマホは、中国のスマホメーカーの技術が追いつくことによって駆逐されました。自動車が今、スマホと同じ道をたどろうとしています。遠からず、韓国自動車の中国でのシェアは1%を切るでしょう。
やがて韓国の主力輸出品のほとんどが「中国の方が安くできる」という時代になります。そうなったとき、むしろ韓国が中国から多くを輸入するようになります。
すでにそうなっている例があるのです。
太陽光発電に用いられるセルです。もはや中国産の発電セルの方が安価になってしまい、韓国の太陽光発電パネルの9割以上は中国産を用いているといわれます。
文在寅前大統領のクリーンエネルギー政策は、雨後の筍のように太陽光発電施設を乱立させましたが、中国企業からすると「いやぁ儲けさせてもらいました(笑)」だったのです。
韓国は、現在最大の輸出相手である中国との貿易で黒字を積み上げていますが、これが赤字に転落する可能性も出てきました。以下の記事でご紹介したとおり、05月には対中国輸出入は赤字になったのです。
この赤字化は「27年9カ月ぶりの赤字」です。
中国の技術・製品が韓国に追いつくときには、韓国の対中国輸出は減らざるを得ません。また、太陽光発電セルのように、中国製品の輸入が拡大すれば、貿易赤字に傾くでしょう。
韓国の対中国輸出はいよいよ正念場を迎えたのではないでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)