韓国の政府負債が急増している話はもう読者の皆さまも聞き飽きたかもしれませんが、ここにきてまた韓国メディアでも多く記事が上がるようになってきました。
次期大統領選挙を控えて、各候補がバラマキを公約にしていること、また政府がお金をまく準備をしていることが背景にあるためでしょう。
韓国政府にはお金がないのです
何度もご紹介しておりますが、お金をまくといっても財源はないのです。赤字国債を発行してお金を調達するしかありません。つまり政府負債がその分また膨らむわけです。
2022年01月24日に、政府は小商工人、個人事業主を支援するための「防疫支援金」のためのプランを策定し国会に提出しましたが、総額14兆ウォンのうち、11兆3,000億ウォンは赤字国債でまかなう予定です。
政府与党はこれでは足りないとして「35兆ウォン」規模まで拡大するように主張しています。
もちろんそんな財源はありませんから、追加されたとして、それも赤字国債でまかなうしかありません。
ついこの間、韓国史上最大の予算「607兆7,000億ウォン」を通したばかりなのに、もう追加予算35兆ウォンを組むという話をしているのです(まだ01月ですよ!)。正気の沙汰とは思えないほど杜撰な支出管理といえます。
負債の増加速度は「先進国の倍」
で、ここからが今回の本題です。
韓国政府が野放図で無責任な態度ですから、韓国メディアも記事を出して警告しているのです。
韓国メディア『毎日経済』が興味深い記事を出しています。『韓国租税財政研究院』のキム・ジェジン院長にインタビューしたものです。大事な点だけを以下に記事から引用します。
(前略)
キム・ジェジン『租税財政研究院』院長は28日、『毎日経済』とのインタビューで「2011~2020年、韓国の政府負債は年平均9.4%ずつ増えた」
とし
「この期間、先進国の負債は年平均4.7%、全世界では負債が5.7%ずつ増えたことに照らしてみると、増加速度はとても早い」と強調した。
2011~2020年に先進国では年平均「4.7%」の負債増だったのに対して、韓国の場合「9.4%」。つまり倍の速度で負債を重ねてきたと指摘しています。
後始末は次期政権任せの無責任な所業
記事の結びの部分にも注目です。
(前略)
文政権になって国民健康保険の保障拡大など、各種社会的セーフティーネット強化のための財政投入が増えたことに加え、コロナ19事態が財政支出を爆発させる起爆剤となってしまった。アメリカ合衆国を含む主要先進国は、コロナ19で大幅に拡大された財政・通貨政策を正常化する手続きに入るが、韓国では大統領選挙を控えて与野党が追加の経済支援予算を通じた「お金をまくこと」に余念がない。
キム・ジョンシク『延世大学』経済学部・名誉教授は「オミクロン拡散などに備えて財政余力を備蓄しなければならない」とし「本当に難しい時期が来たときに使える財政政策手段が使い尽くされてはならない」と話した。
(後略)
キム名誉教授からすれば、本当に難しいときが来たときに使える「財政上の手段」が使い尽くされようとしているように見えるのでしょう。
「韓国の政府負債はどうなるんだろうなぁ……」と遠い目になってしまう先生方が多いのではないでしょうか。
文政権のおかげで韓国政府の負債は未知の次元に足を踏み入れました。この先どうなるのかは分かりません。しかし、仮に破断界を迎えたとして、そのとき政府負債を倍の速度で膨らませた人たちはもう政権の座にはいません。
後始末をするのは、次期政権以降の人たちです。
去っていく者はいつだって美しいですが、残る者をこそ褒むべきです。戦うのはその人たちなのですから。
(吉田ハンチング@dcp)